■エクリプス(クロス)の“スポーツクーペからSUVへの転身”ってアリ?
1990年2月、多様化する高性能スポーツカーのニーズに応えるべく、アメリカンテイスト溢れる左ハンドルのスポーツクーペとして登場したエクリプス。
ロー&ワイドなスポーツシルエットやグラスイメージのキャビンなど近未来を感じさせる斬新なエクステリアに加え、最上位グレードのGSR-4では2LのDOHCターボエンジンやVCU付センターデフ方式のフルタイム4WDを採用した高い走行性能を誇る個性派モデルとして、今も記憶に残っているというクルマ好きも多いことだろう。
その後、2006年に販売終了となったエクリプスではあったが、2018年3月に復活を果たす。といっても往時のスポーツクーペとしてではなく、車名の後ろにクロスオーバーを意味する“クロス”が付与されたSUVとして生まれ変わったのだ。
エクリプス クロスはそれまでにないスタイリッシュなクーペフォルムとダイナミックなSUVの機動力を融合した個性的なデザインを採用しながらも、高いヒップポイントによる見晴らしのよさやルーミーな室内空間といった実用的な部分もしっかりと配慮。
2.4Lの自然吸気エンジンを凌ぐ中低速トルクを発揮する新開発の1.5Lダウンサイジング直噴ガソリンターボエンジンも、排気マニフォールド一体型シリンダーヘッド・吸排気MIVEC・電動ウエストゲートアクチュエーター付小型ターボチャージャーによって鋭いレスポンスを実現。
エクリプスを名乗るにふさわしいスペックが与えられている。
加えて、アクセル開度や車速、車両の走行条件などから後輪へ伝達するトルクを常に適切に配分する電子制御4WDシステムや8速スポーツモード付のINVECS-III CVTを採用し、安心して楽しめるドライビングフィールを提供。
2020年4月にはツインモーター4WD方式のPHEVモデルも設定され、グレード展開も充実の一途を辿っている。
■見た目や車格が変わっても俺たちにとってAE86もトヨタ86も“ハチロク”だ!
型式名のAE86から“ハチロク”の愛称で親しまれたカローラレビン&スプリンタートレノ。FRの走行特性を好むファンからの支持は根強く、デビューから40年以上が経った現在でもその人気は留まるところを知らない。
そんなハチロクが現代に復活! ということで大きな話題となったのが、2012年2月に行われた初代トヨタ86の発表だ。
ドライバーの感覚ひとつでいかようにも取り回せる“手の内感”や操る楽しさを体感できる“直感ハンドリングFR”をコンセプトにデビューしたトヨタ86。水平対向エンジンの採用による超低重心FRパッケージを大きな武器に、従来のスポーツカーとは別次元の走りの楽しさも同時に追求されていた。
また、新開発の水平対向D-4Sエンジンは200psの最高出力を発揮するとともに、優れた空力性能や軽量化によって13.4km/L(JC08モード)という燃費性能も実現。
現代によみがえった86はその話題性に加え、MR-Sの生産終了から5年ぶりとなるトヨタのスポーツカーとして登場したこと。さらには86の発売に合わせて全国の取り扱い販売店に「AREA 86」という専門ショップを設置したことなどが追い風となり、発表から1カ月で約7000台を受注する好調なセールスを記録した。
2021年10月に登場した2代目からは車名がGR86に変更され、先代モデルの伝統を継承しつつもGRらしい走りの味を追求して、さらなる高い次元でのダイレクトで気持ちのいい走りを実現。
注目したい進化ポイントは、2Lから2.4Lへの排気量アップにより動力性能を向上した新採用のD-4Sを搭載した水平対向4気筒エンジン、全高とヒップポイントを低く抑えて回頭性の向上を実現した超低重心FRパッケージなど。
さらに、モータースポーツからのフィードバックを活かした空力アイテムの採用など先代からの進化は枚挙に暇がないが、トヨタ86にしてもGR86にしてもAE86がもつ“走る楽しさ”を守り続けたいという想いを感じずにはいられない。
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