簡単にいえば自社にないラインアップを協力会社などから調達し、補填するといった手法がOEMだ。じつはマツダは1980年代から軽自動車を自車開発しておらず、今やすべてがスズキ製。でもかつてキャロルやR360クーペといったマツダらしいラインアップが人気を集めたのも事実。この判断は正しかったのか!?!?
文:小鮒康一/写真:ベストカーWeb編集部
■かつてはマツダ版ジムニーも存在!? 自社開発撤退はかなり早い判断だった
トヨタのように大企業でないため、選択と集中の名の下にミニバンや商用車の自社開発・生産から撤退して久しいマツダ。その英断が功を奏してか、近年ではクロスオーバーSUVのCXシリーズや一貫して人馬一体を掲げて進化し続けているロードスターなどが高い評価を集めている。
そんなマツダだが、ミニバンと商用車以外にも自社開発・生産から撤退しているジャンルがある。それが軽自動車だ。現在マツダブランドで販売されている軽自動車はすべてスズキからのOEMモデルとなっているのである。
■80年代からオリジナルなし!! 98年完全撤退って判断早いなぁ
マツダが初めて4輪乗用車に参入したのは1960年のことで、そのモデルが軽自動車の「R360クーペ」だった。
リアにエンジンを搭載しリアを駆動するRRレイアウトを持つR360クーペは4人乗りではあったものの、リアシートはかなりミニマムで大人が座るにはなかなかに窮屈なものだった。
だが、マツダはそれを逆手にとって“クーペ”として販売しており、戦後に登場した国産車で初めてクーペを冠したモデルとなっていた。
その後もキャロルやシャンテ、商用車のポーターといったオリジナルの軽自動車をリリースしていたマツダだったが、1989年10月に登場した2代目キャロルからはプラットフォームやパワートレインはスズキから供給を受け、内外装のデザインのみマツダオリジナルという形となり、完全マツダオリジナルの軽自動車はこの時点で消滅している。
そして1998年10月に軽自動車の規格が改定されて現行のボディサイズになった時点はオリジナルの内外装を持つ軽自動車の開発も終了し、完全なスズキOEMモデルとなったというワケだ。
■とはいえマツダのメインは登録車!! 振り切りは正しかったのよ
確かにマツダの過去の軽自動車はどれもオリジナリティ溢れるモデルが多く、パワートレインの供給を受けるようになってからも、前述したキャロルやAZ-1など個性的なモデルをリリースしてきたのは事実で、オリジナルモデルが消滅してしまったのは残念に感じている人も多いかもしれない。
ただ販売の主力が軽自動車となるダイハツやスズキとは異なり、マツダの主力車種は登録車であり、オリジナルの軽自動車がないとメチャクチャ困る……というワケではないだろう。
マツダ車ユーザーのセカンドカーや家族用のクルマとして軽自動車が必要となるケースはあるかもしれないが、その場合はOEMモデルでカバーできるというのが現実だ。
もちろん軽自動車の開発・生産にリソースを割いても主力車種に影響がないのであれば別だが、そこまで余裕があるワケではないマツダにとってはやはり主力車種に注力するという判断は間違ってないと言えるのではないだろうか。
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