そろそろ量販グレードの投入がささやかれるトヨタのアルファード/ヴェルファイア。しかし以前から不思議なのだが、アルヴェルにはなんでディーゼルモデルがないのだろう? 大トルクのディーゼルはミニバンにぴったりだと思うのだが?
文と写真/ベストカーWeb編集部
■横置き用のディーゼルエンジンがない
2023年6月にデビューした4代目アルファード/3代目ヴェルファイア。そろそろ手頃な量販グレードがデビューしそうな雰囲気だが、それにしても不思議なのは、「なんでアルファード/ヴェルファイアにはディーゼルがないんだろう」ということだ。
こいつは2002年に初代アルファードがデビューした時からの謎だった。ディーゼルエンジンの低速トルクや優れた経済性はミニバンのドライバビリティともマッチするし、実際、当初の仮想敵である初代エルグランドも直4ディーゼルを搭載していたからだ。
その答えだが、どうやら2つの理由がありそうだ。
一つは、現在のトヨタに横置きFF車に積めるディーゼルがないことだ。
現行のトヨタ製ディーゼル(生産は豊田自動織機だが)といえばKD型やGD型があるが、いずれも縦置き用でハイエースやランドクルーザーが搭載する。思い切ってランクル300が積むV6ディーゼル(F33A-FTV)なんかどうかとも思うが、これまた縦置きだ。
かつてはトヨタにも、コロナやカムリなどが搭載したC型という横置きディーゼル(1.8/2/2.2L)があった。とはいえ小型乗用車向けだったから、現存したとしても巨艦のアルヴェルには候補とならないだろう。
■高級ミニバンとしてイメージが合わない?
そしてもう一つの理由。それはアルヴェルが高級ミニバンであるということだ。後席の乗員を心底もてなすというホスピタリティの思想からして、ディーゼルエンジンの音や振動、環境性能といった要素が、開発要件に合致しなかったというのが最大の理由のように思える。
昨年のフルモデルチェンジでアルヴェルはV6エンジンすら捨て去ったが、ハイブリッドを前面に押し出したことで、多気筒エンジンに代わる動的質感をアピールできた。乗用車の電動化がさらに進展すれば、この発想はさらに効果を増していくだろう。
商用車やオフロードといったフィールドでは依然威力を発揮するディーゼルだが、アルファード/ヴェルファイアについては、距離を置く存在であるといえそうだ。
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