4月17日岩手県金ケ崎町にあるトヨタ自動車東日本の岩手工場で「新型LBX~東北と走る~」と題した記念式典が開催された。岩手県の達増(たっそ)拓也知事やトヨタの豊田章男会長、岩手県出身で開発ドライバーの佐々木雅弘氏が出席するなか、従業員ひとりひとりが東日本大震災後に生まれたトヨタ自動車東日本の歩みを振り返りながら、LBXを生産することで新たな未来を切り開く決意を確認しあった。
文/ベストカーWeb編集部 写真/トヨタ、ベストカーWeb編集部
■東日本大震災後に生まれたトヨタ自動車東日本の出荷額は約8000億円
トヨタ自動車東日本の設立は2012年7月。東日本大震災の復興を寄付といった一過性のものではなく、「東北に根付き、税金を払うことで地元に貢献したい」という豊田章男社長(当時)の決断による。豊田章男社長は何度も「東北のモノづくりを復興させ、明るい笑顔を取り戻したい」と口にし、何度も東北地方を訪れてきた。
その想いは少しずつ実を結び、震災前に比べてトヨタ自動車東日本の生産台数は1.6倍の約47万台に、トヨタ自動車東日本をはじめトヨタ全体の出荷額は約300億円から約8000憶円に、従業員数は約2000人増の約5300人となり、仕入先数も約1.8倍(約180拠点)となった。岩手県に限れば出荷額ベースで自動車が約25%と特産品のナンバーワンになっている。
モリゾウさんがこだわった納税に関しても岩手県に約3億円、金ヶ崎町に4.5億円を納税し、金ヶ崎町では町税総額の約16%にあたる。トヨタ自動車東日本が地元に根付き、愛されたこその数字であろう。
今回の式典は約12年で大きく成長したトヨタ自動車東日本が地元に感謝を伝えるとともにレクサスLBXを生産することで新たな飛躍を誓うものになった。
トヨタ自動車東日本の事業内容をまとめると、コンパクトカーを中心に開発、生産し、東北地方に3つの工場を持つ。
シエンタやヤリス クロス、カローラフィールダー、カローラアクシオ、JPN TAXIなどを生産する宮城県の大衡(おおひら)村にある宮城大衡工場。宮城県大和町にあるエンジンや部品を生産する宮城大和工場。そして今回式典が行われたヤリス、アクア、ヤリス クロス、そしてLBXを生産する岩手県金ヶ崎町にある岩手工場の3つだ。
■新型LBX~東北と走る~に込められた想い
2023年12月にレクサスLBXがラインオフした。トヨタ自動車東日本は飛躍のチャンスをもらったととらえている。しかし、当初はRXやNXなどレクサス車を生産するトヨタ自動車九州のスタッフから「部品の扱いが雑だ」と指摘を受けたこともあり、レクサスの品質をお客様に提供できるのか? という不安の声もあったという。
それでも、岩手工場の従業員は、努力を惜しまなかった。例えばLBXの「大きさのヒエラルキーを超える」という思いに応えるため、煌工程(きらめきこうてい)と呼ばれる3つの専用検査工程を新設した。
1、ラフロードテスターと呼ばれる動的異音の検査
2、照明ブースと呼ばれる塗装や建付けの検査
3、静音ブースと呼ばれる電装品などの検査だ。
そして、煌工程の新設にあたっては検査員の養成に特に力を入れた。例えば検査員候補にはセンチュリーの検査員を講師とし、検査技能教育を実施したという。
また車両抜き取り評価部署であるお客様品質監査課に留学させ、お客様目線の内外装の評価やテストコースでの異音評価業務を習得させたりもした。
いずれもレクサス車を生産することで一段ステップアップしようという意気込みの表れだ。
LBXを生産することでトヨタ自動車東日本が成長すれば、東北をまたひとつ元気にすることができるのだという強い想いが「新型LBX~東北と走る~」に込められているように思う。
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