え、なんで?「ある国産セダン」がカナダに大量輸出された見えない理由

え、なんで?「ある国産セダン」がカナダに大量輸出された見えない理由

 昨今の円安外貨高の影響をうけ、過去最大級にまで伸びているといわれる日本の中古車海外輸出台数。米国で日本の古い中古車が人気となっていることで、スカイラインGT-Rをはじめとして、NSXやランサーエボリューションなどの80~90年代の国産スポーツカーが、当時の新車価格を大きく超えた価格で取引されているが、その隣国であるカナダにはいま、とある国産セダンが多く輸出されているという。

文:吉川賢一/写真:TOYOTA

その正体は200系クラウン!!

 「とある国産セダン」の正体は、13代目のトヨタ「クラウン(200系)」だ。カナダにおいては、日本の中古車は、コンパクトカーやミニバンの人気が高い傾向があるのだが、某自動車輸送会社による調査によると、2023年は、これらコンパクトカーやミニバンを抜いて、この200系クラウンがもっとも多かったという。

 2008年2月に登場した通算13代目となる200系クラウンは、「ゼロクラウン」といわれる12代目クラウンの後継車。豪華装備の「ロイヤル」、走りを重視した「アスリート」、そしてクラウン初の3.5Lエンジンとモーターを組み合わせた俊足グレード「ハイブリッド」が設定されたモデルだ。

 このうちカナダ行きが多いのは「アスリート」。リアスポイラーや18インチアルミホイール、スポーツタイプバンパー、丸四灯のテールランプ、さらにはギア比可変ステアリング(VGRS)など、走りの専用装備が満載のスポーツセダンだ。覆面パトカーとしても多く採用されたので、200クラウンアスリートをみると、苦々しい経験を思い出す人も少なくないかもしれない。

2008年2月に登場した13代目クラウンのアスリート。12代目の「ゼロクラウン」の後継車であり、アスリート、ロイヤル、そしてハイブリッドが用意されたスポーツセダンだ
2008年2月に登場した13代目クラウンのアスリート。12代目の「ゼロクラウン」の後継車であり、アスリート、ロイヤル、そしてハイブリッドが用意されたスポーツセダンだ
いかにもクラウンらしいリアスタイル
いかにもクラウンらしいリアスタイル

カナダのバイヤーが、青田買いをしている状況か!?

 中古車の海外輸出事情に詳しい中古車買い取り専門店の担当者によると、200系クラウンアスリートがカナダ行の輸出船で確認されるようになったのは、2023年からとのこと。2024年に突入したいまも続いているという。

 実はカナダにも、米国の「25年ルール(米国では右ハンドル車の輸入は認められていないが、製造から25年以上経過した車は、クラシックカーとして右ハンドル車であっても登録できるという制度のこと)」と同じように、「製造年15年落ち以上」という中古車輸入に関するルールがあり、200系クラウンがカナダに多く輸入された2023年は、2008年製造のクルマが輸入できるようになるタイミング。

 クラウンアスリートの他にも、2008年製造の初代ヴェルファイアや、4代目オデッセイ、初代フィットなどが輸出されていっていたそうだが、なぜ日本のみで販売されていた200系クラウンアスリートがもっとも多かったのかは、前出の担当者もよくわからないそう。

 ここからは筆者の推測だが、輸入規制が北米よりも10年ほど先に解かれるカナダのバイヤーが、将来的に米国で人気の出そうな2000年代国産スポーツセダンを、青田買いしている状況なのではないだろうか。米国での日本の中古車(JDM(Japanese domestic marketの略であり、日本国内市場をさすが、25年ルールをクリアした日本の古い中古車のこと)ともいわれる)人気は、円安の影響もあって、依然として高い傾向。米国の25年ルールをクリアして高騰する前に入手し、25年ルールをクリアするタイミングを待つ、ということを企んでいる可能性はあると思う。

200系クラウンのインテリア。ブラック基調の引き締まったインテリアは、いまみてもカッコ良い!!
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海外メーカーのセダンにはない、独特なオーラが感じられるトヨタクラウンに魅力を感じるアメリカ人は多いのでは?
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