■森林の約6割を残す環境保全に取り組んだ施設
トヨタ・テクニカルセンター・下山のもうひとつの大きな特徴は環境保全に取り組んでいる点だ。敷地面積の約6割の森林を残したうえで、新たに緑地を造成している。
また東エリアには環境学習センターがあり、里山体験イベントなどを行い、地域住民の方たちとの交流の場にしていくという。
地域に応援されるような施設にならなければ、もっといいクルマづくりもひとりよがりなものになってしまう。モリゾウさんも「ここをどう使うか? 地域の皆さんと考えていくことが大事」と語っている。
また「地域の子どもたちに誇りを持ってもらえるような下山を残せているだろうか?」という謙虚な思いを忘れてはならないという。
トヨタ・テクニカルセンター・下山が開発拠点やテストコースという枠を超え、みんなでクルマの未来を語れる施設になっていくことを期待したい。
■トヨタ・テクニカルセンター・下山とは?
豊田市と岡崎市にまたがる650ヘクタールという広大な敷地面積を持つ研究開発施設。構想から約30年、投資額約3000億円をかけて完成し、2024年3月25日から全面運用が開始された。
機能別に西エリア、中央エリア、東エリアに分かれ、中央エリアにはニュルブルクリンクサーキットを模した全長約5km、高低差約75mのカントリー路があり、クルマの味付けを目的に徹底的に鍛え上げられる。
東エリアには約6kmの高速評価路や約5kmの周回路など10本のテストコースがあり、クルマの運動性能の信頼性や品質が作りこまれる。
西エリアには車両開発棟があり、企画、設計、デザインなどの担当が常駐する。具体的にはGRとレクサスのクルマがここで開発される。また来客棟では、社外関係者との協業が行われるほか、コンビニや食堂もある。
トヨタ・テクニカルセンター・下山で働く従業員数はなんと約3000人。いいクルマづくりに没頭する研究開発のもと、どんなクルマが誕生するのか楽しみだ。
【画像ギャラリー】破壊なくして創造なし!! 作って走って壊して直すを繰り返し大きな進化を遂げたトヨタ GRヤリス(24枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方本音を言うと、国産メーカーすべてがそうであってほしいです。
コンピュータ上で全てがシミュレートできる気になってしまうけれど、実際は全然違う。あくまでPC上は仮想でしかない。コストを掛けて実物を早々に作って、実物で試す。
重要な部分は実物じゃないと見えてこないものばかり。これが日本式(常識)になれば、国産車のレベルはEV時代になっても他が太刀打ちできないものになるでしょう。