現在はバスやトラックなど、運ぶを支えるモデルをリリースしているいすゞ自動車だが、過去に販売していた。乗用車にはドイツのチューニングメーカーであるイルムシャーが手掛けた高性能版が存在しており、その人気にあやかった中古車シリーズも存在していたのである。
文:小鮒康一/写真:いすゞ
■下取り車をベースにカスタマイズを施した商品化中古車たち
現在のように大手中古車買取店のネットワークが張り巡らされる以前の80年代は、新車を購入するときはそれまで乗っていた車両を下取りに入れて買い替えることが一般的であり、メーカー系ディーラー店には下取りで入った自社ブランドの中古車がダブつくことも珍しくなかった。
そこでいすゞはその下取り車を再び魅力的な中古車に仕立て上げるために、一律したドレスアップを行って再販することにした。その第1弾となったのが、アスカのガソリンターボモデルをベースとした「カゲムシャー」だ。
この車名は当然ながら前述したイルムシャーをもじったものとなっており、影武者という響きからボディカラーはブラックに統一。
またフロントグリルやヘッドライト、シート生地などを本家イルムシャーに採用されているものに変更し、14インチのアルミホイール&タイヤを装着するなど、リフレッシュもされており、中古車フェアの目玉車両として用意されたカゲムシャーは好評となり、“武者シリーズ”と呼ばれる続編が作られることになる。
■今度はムシャブルイ?!
第2弾となったのは「ムシャブルイ」と名付けられたピアッツァベースの商品化中古車で、影武者でブラックだった第1弾に対し、武者ブルーと名付けられたブルーのボディカラーを纏っていたのが最大の特徴だった。
その後もFFジェミニベースの「ワカムシャー」やビッグホーンベースの「アラムシャー」など、続編が投入されて人気を博したが、徐々に下取り車の確保が難しくなり、1989年からオペル車の輸入権を取得して国内販売を開始したこともあって、武者シリーズは1989年をもって終了となってしまった。
最近では日産がキューブの中古車をベースとした商品化中古車を発表しており、ユーザー、メーカーともにメリットの大きな取り組みのようにも感じられるが、再びこのムーブメントが起こる日はくるのだろうか?
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