日本自動車連盟(JAF)が公開した車内温度の検証結果を見ると、外気温35度で、車内温度25度の黒いクルマを放置した場合、気温や湿度から危険度を割り出す熱中症指数(WBGT)が、窓を閉め切って冷房を停止後15分で人体の危険レベルに達した。
さらに停止後30分後には40度を超え、最高57度まで上がった。フロントガラスにサンシェードを取りつけたクルマや窓を3cm程度開けた状態でも、車内気温はやや低いが同様の傾向が見られ、いずれも30分後には車内温度が40度に達することがわかっている。
炎天下に駐車したクルマのボンネットも驚くほど熱くなる。実際に黒いボディのボンネット上に生卵を割ってのせて、2時間放置すると、目玉焼きのようなコンガリ焼いた感じではないものの、じっくりと温められて白身は白色へと変わり、黄身も表面はほぼ固まった。見た目は目玉焼きの完成だ。
さらに70度に達した車内のダッシュボード生卵を置いて2時間後に割ってみると、表面温度が70度になって素手では触れないほど熱くなったゆで卵が出現。夏場の車内は卵料理ができちゃうほど高温になるのだ。
例えば炎天下、子供を連れての海水浴やプール、買い物やホテルでの宿泊時の駐車など、長時間クルマを駐車する機会があると思う。
そんな時、クルマに戻ってドアを開けたら、もわっ~とする熱気でお手上げになった人は多いハズ。
でも、エアコンの設定温度を16度、風量をMAXにしてもなかなか車内の温度は下がらない……。
こんな時はどうすればいいのか? 車内の熱気を素早く、効率的に外に出せる方法は? モータージャーナリストの鈴木伸一氏が解説します。
文/鈴木伸一
写真/ベストカー編集部 ベストカーWEB編集部 JAF(出典)
60度近くになった車内温度を素早く下げるには?
真夏の炎天下に駐車したクルマの車内温度は30分で60度近く、直射日光に曝されるダッシュボードは80度に達し、もはや蒸し風呂状態。熱中症や火傷などに注意が必要となる危険な暑さとなる。
そんな状態では安全運転は望めないため、ただちに温度を下げるべく、誰しも慌ててエアコンを動作させる。しかし、高温となった車内温度は単純にエアコンを動作させただけではなかなか下がってはくれない。
では、どうすれば早く下げることができるのか? そんな検証をJAF(日本自動車連盟)が過去に行っている。
「車内温度をもっとも早く下げる方法は?」というタイトルで行われたユーザーテストで、以下のような設定で検証がなされている。
①ドア開閉/エアコンは使わず、助手席の窓だけを開け、運転席のドアを5回開閉して車内の熱気を逃し、温度変化を測定。
②冷却スプレー/エアコンは使わず、冷却スプレーをシートに10秒ほど吹きかけ、3分間の温度変化を測定。
③エアコン「外気導入」/窓は開けず、クルマのエアコン(オート)を外気導入、温度設定はLo(最低)にし、10分間の温度変化を測定。
④エアコン「内気循環」/窓は開けず、クルマのエアコン(オート)を内気循環、温度設定はLo(最低)にし、10分間の温度変化を測定。
⑤エアコン+走行/窓を全開にし、クルマのエアコン(オート)を外気導入、温度設定はLoにして走行。2分後に窓を閉め、エアコンを内気循環にして3分間走行し、温度変化を測定。
というもので、テスト環境を同一に揃えるべく密閉状態で55度に達するまで放置後、個々の特性を確認すべく、単一手段(⑤のみ複数の組みあわせ)を必要最低限の手順で行われている。
その結果、⑤の「エアコン+走行/窓全開」がベストという結論であった。
この結果から、「車内の空気を単純に冷やすのではなく、車内より低い外気と入れ替え、その上でエアコンを利用する」という最適手順が見えてくる。
空気を冷やす場合、開始点の温度が低いほど、早く冷やすことができるからで、カーエアコンを効率よく利用するための理に適った結論といえる。
室内温度が外気温度より高い時、そのままエアコンを作動させるとフル稼働時間が長くなり、燃費の悪化をまねく。
しかも、快適な温度になるまで時間もかかることにもなるため、まず室内の温度を下げることがなによりも大切。
そのための最適な方法が窓を開けることによる換気で、熱気がこもっている間は「外気導入モード」でエアコンを作動させることでエアコンコンプレッサーがフル稼働する時間を短縮。
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