日産は自動運転化技術の研究開発を長年続けている。今年2月にドライバーレス自動運転によるモビリティサービス事業化に向けたロードマップが発表され、そこには来年となる2025年度~2026年度にはサービス実証実験が開始されるとあった。今回、自動運転車両に乗る機会を得たので、その様子をリポートする。
文:西川昇吾/写真:日産
■どんなメカニズムになっているの?
今回試乗したのはリーフをベースにした自動運転車両だ。14のカメラ、10のレーダー、6のライダーが取り付けられている。カメラは車両や道路構造の区別、車両の種類や標識を理解するために使われる。
レーダーは車両や歩行者など周囲の移動物の距離や速度を把握するために使用。そしてライダーは3次元的に空間を認識し、構造や物体の形を正確に再現する。これらの装置を統合的にシステムすることで自動運転を実現させているのだ。
車両の各部に取り付けられているが、その様子は正に360度全方位だ。システム的には人間よりも死角がないと言える。
室内を見てみるとセンターにモニターが設置されていて、そこにはライダーから得た情報が3次元的に表示されている。トラックや自動車はもちろん、歩行者もしっかりと認識しているのが分かる。
■スムーズで実状を考えた走行に驚き
そんな最新の自動運転車の助手席に試乗した。今回の試乗コースは日産のお膝元でもある横浜エリア。車線が複数ある幹線道路から、車線が片側1車線となり狭くなる道路まであり、右左折もある。右折の中には右折矢印が表示されない信号もあり、難しい場面も多いシチュエーションだ。
ドライバーが運転席に乗車した状態で、プロパイロットのスイッチを押すと自動運転が開始された。
走行を開始した直後から感じたのは加減速がスムーズなことだ。迷いを感じさせず、スッと法定速度まで加速してくれるしブレーキングも段階的なものでなく、安定したG変化で止まり、俗に言うカックンブレーキを感じさせない。上手い人が運転している雰囲気だ。
自動運転と聞くと安全を気にするあまりスローな運転をイメージしてしまうが、今回の試乗ではそのイメージとは違うものであった。
もちろん、日産の自動運転も安全が第一だ。その中でも流れに沿って走ることを意識しているという。変に遅く走るよりも流れに沿って走ることが安全というのが日産の考え方らしい。
また、試乗中難しいシチュエーションもあったが、難なくクリアしていたのが印象的であった。前走車の関係で交差点に低速で進入してから信号が黄色になるという場面だ。ここで止まってしまうと、反対側の信号が青になった瞬間に他の交通の邪魔となってしまう。
そんな場面でもリーフは迷うことなく前に進み、スムーズに交差点をクリア。交通の実状に合った走行を見せてくれた。
そして右左折時はしっかりと歩行者や自転車を検知。歩行者の速度も認識しているため、こちらも安全かつスムーズな右左折を見せてくれた。もしもの時はドライバーがステアリング操作を行えば運転はドライバーに委ねられるようになっている。
■来年は横浜で乗れるようになるかも
来年度を目標に、まずは横浜エリアでのサービス提供を行った実証実験を予定しているとのこと。これはまだどのような形になるかは完全に決まり切っていないが、セレナをベースにした車両を最大で20台用意し、一般ユーザーも乗車できるような体制を検討しているそうだ。(ドライバーは乗車)
2027~2028年度は横浜を始め、地方を含む3~4都市までに拡大する予定。また自動運転のレベルも引き上げることを目標としている。このように様々な都市で実証実験をすることで、自動運転に関するデータを集めるという訳だ。
日産がこのような自動運転のシステム研究開発、そして実際にユーザーを乗せての実証実験を考えているのは、最終的にタクシードライバーを始めとしたドライバー不足への社会貢献を考えているからだ。
運転手が不足している状況でも安定したサービス提供を実施し、社会のライフラインを継続する力になる。自動運転にはそのような役割が求められていると日産は考えている。
日産が描くビジョンでは、早ければ来年にもこのシステムを備えた車両に横浜で乗れるようになるかもしれない。未来を体感する機会はすぐそこまで来ている。
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