カローラツーリングを通して考える「変えること」と「なかなか変えられないもの」の難しさ テリー伊藤 試乗プレイバック【テリー伊藤のお笑い自動車研究所】

■車名を変えるべき? カローラには人気子役の悲哀がつきまとう

従来型とは比べものにならないほどの走りの上質感を持っている。その点では文句なしの仕上がりだ
従来型とは比べものにならないほどの走りの上質感を持っている。その点では文句なしの仕上がりだ

 新しいカローラを見ていると、大人になって苦労しているかつての人気子役を想像してしまう。

 今、出てきたら「いい役者だ」と評価されるのに、子役の時のイメージが邪魔をしてしまう。

 昔の栄光があるから比べられてしまうクルマは多々あって、スカイラインもそうだし、シビックもそうだし、カローラもその代表的存在だろう。

 イメージチェンジに合わせて車名を変えるべきか残すべきか、これは凄く難しい問題だ。

 外野は好き勝手にカローラの車名はもう変えるべきだというかもしれないが、トヨタの社員にとって、この名前がどれだけ重要なのかを私たちは知らない。

 トヨタの人たちがカローラの車名を残した決断も尊重しなければならないだろう。

 しかし、ひとつ言えるのは、名前を残すなら残すなりの戦略が必要なのではないかということだ。

 例えば、今年登場すると言われているTjクルーザー。あんなクルマがもしカローラとして出てきたら、カローラのイメージは間違いなく変わるし、価値だって変化するだろう。

今年デビューする(らしい)Tjクルーザー。これがカローラだったら、イメージは一新する(※結局発売はされず)
今年デビューする(らしい)Tjクルーザー。これがカローラだったら、イメージは一新する(※結局発売はされず)

 実は、ファッション業界ではそんなことは日常茶飯事で、メインのデザイナーが変わるたびに大きく変わり、コンサバな女子大生が好きだったブランドが急激に過激な路線に変わるようなことがよくあるのだ。

 アメリカのブルックスブラザーズもそうだ。かつては保守的なニューヨークのエリートしか着ないような服だったのに、デザイナーが変わったとたん、靴下が見えるような短いパンツのタイトなスーツを作って価値観をがらりと変えた。

 もしもTjクルーザーが新型カローラだったらみんなひっくり返るだろう。「これが令和時代のカローラだ」と言われたら黙るしかない。

 高齢者を相手にせず、20代、30代の昔のカローラをよく知らない世代にアピールしなければならない。

「残す」というのはそういうことだと思う。自社の伝統や財産を残すためにするべきことは、過去を背負うことではなく新しいものを生み出すことなのだ。

●テリー伊藤 今回のつぶやき

 新型カローラはよく頑張ったが、それでもまだ過去を背負っているように見える。伝統を残すには、新しいものを生み出さなければならない。

(写真、内容はすべてベストカー本誌掲載時のものです)

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