クラウンクロスオーバーが出てからもうすぐ2年が経とうとしている。セダンが売れない現代で生き残りを図ったクラウンはクロスオーバーとなり人気を博している。ところがその15年も前に日産から名車スカイラインをクーペSUVにしたスカイラインクロスオーバーが発売されていたのだった。
文:西川昇吾/写真:日産
■インフィニティの日本版
スカイラインクロスオーバーは2009年4月に日本市場での販売を開始した。日本市場では馴染みがあり、歴史がある「スカイライン」の名が採用されたが、このモデルは元々北米市場で高級ブランド「インフィニティ」から販売されていたEXである。
スカイラインと言えばプリンス自動車から続く、日産の歴史と走りを象徴する1台であり、セダンとクーペが基本となっている。そこに新たに加わったクロスオーバーは、「クロスオーバー」の名が表しているように、クーペとSUVの融合から生まれたモデルである。
今でこそCピラーが大きく傾斜したクーペSUVのスタイリングはトレンドの最前線を走るデザインだが、スカイラインクロスオーバーのデザインを見ると、そのトレンドの前から、クーペSUVというジャンルにチェンジしていたモデルでもあった。
また、FRらしいロングノーズやフロントとリアのフェンダーを繋ぐウエストラインなど、SUVの王道から逸れたそのデザインは、あくまでも走りのスカイラインの派生モデルであることを強く主張しているかのようであった。
■プラットフォームはまさかのスカイラインと共通
走りを重視するスカイラインらしいポイントがメカニズムからも現れている。
近年のSUVはFFベースのものが主流となっているが、なんとこのスカイラインクロスオーバーはFR、もしくはFRベースの4WD、しっかりとエンジンも縦に置かれている。何を隠そう採用されているプラットホームはスカイラインやフェアレディZと同じFMプラットホームであった。
エンジンはZ34型フェアレディZと同じ3.7L V6のVQ37VHRのみのラインアップという男気溢れるもの。ハイブリッドとかダウンサイジングターボなんて軟派なパワーユニットは用意されていなかった。
そして4WDには、電子制御トルクスプリット四輪駆動システムである「アテーサE-TS」を採用していた。
SUVのスカイラインと聞くとスカイラインの名前をマーケティング上の都合で借りた「名ばかりスカイライン」と思ってしまうかもしれないが、各種メカニズムを見れば見るほど、スカイラインの名に恥じない走りへのこだわりが見て取れるモデルなのだ。
■先進的な安全装備を多数搭載
また、上級モデルらしく当時最新の運転支援システムが用意されていたのも大きな特徴であった。
アラウンドビューモニターやLDP(車線逸脱防止支援システム)/LDW(車線逸脱警報)、FCW(前方車両接近警報)、全車速追従機能付きインテリジェントクルーズコントロールなどが用意されていた。2009年登場という時代を考えると、かなり先進の運転支援システムが満載であったと言える。
クーペデザインにSUVらしからぬ走りへのこだわり、先進の運転支援システムと考えるとヒットしても良さそうに思えてしまうが、残念ながらスカイラインクロスオーバーは1代限りで終了してしまった。
まだ、クーペSUVというジャンルが黎明期で定着が難しかったことや、パワーユニットは3.7L一択となっていて、経済的に優位な選択肢が無かったのも大きな理由と言えるだろう。
成功したモデルとは言えないスカイラインクロスオーバーだが、そのこだわりを見てみると、日産がいかにスカイラインという名前を大切にしているかが分かる1台だ。
【画像ギャラリー】スカイラインなのに丸テールじゃないの!? スカイラインクロスオーバーの全貌が衝撃(13枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方開発に金掛けてた頃の日産の肝入りで、良い車なのは間違いないだろうけど、
リッター6キロの実燃費や7万5500円の自動車税などは、今のダウンサイダーに慣れてる人には耐えられなさそう
乗っていますが、良い車です。
今やナビ周りに古さを感じますが、内装の質感も含めて、中古乗り出し100万円以内で買える相場と比較しても、満足度の高い車だと思います。
youtubeにはこの車でドリフトしている方も居るようですし、遊び方無限大な車ではないでしょうか。
アメリカではインフィニティEXとして一定の成功を納め、その後インフィニティQX50として引き継がれている旨も説明を加えると良いかも知れませんね。
QX50をかつてのインフィニティQ45の様に日産インフィニティQX50として日産ディーラーで販売すれば、一定の販売台数になると思います。