■プロが語ったミッションがいいクルマ、よくないクルマ
エンジンに比べるとミッションの耐久性の差は大きい。
まず丈夫なミッションとして挙がったのは、またしてもというかCVTを含むトヨタのATだ。特に、トルコンATに関しては「よほど乱暴な使い方をされていないかぎり、修理することはまずない」という評価を多くの関係者から受けた。
MTでも耐久性の高いミッションは多い。トヨタのマークIIツアラーV&iR-V(2.5L直6ターボ)などの5速MT、80スープラの6速MT、ランエボVIまでの5速MT、2代目以降のインプレッサWRX STIの6速MTなどは、大きく負担のかかるドリフトやサーキット走行、ラリーやジムカーナといった競技に使っても「そうそう壊れることはない」と言われているほどだ。
逆に壊れることの多いミッションは意外に多い。ATでは初代フィットなどに使われたCVT(CVT本体ではなく乾式単盤のスタートクラッチのほう、これはメーカーで保証が延長されている)、2代目オデッセイの2.3L車などの4速ATなど少し古めのホンダ車はちょっと注意が必要かもしれない。
MTでは一般走行とはかけ離れた使い方をした場合にかぎってという話になるのだが、アルテッツァの6速MT、S15シルビアスペックR(ターボ)の6速MT、ランエボVIII~IXまでの6速MT、初代インプレッサWRX STiバージョンの5速MTなどといったあたりは壊れることがあるという。
●そのほかのポイント
・プジョー206や306などの4AT車はしばしばトラブルに見舞われ、ATの故障=クルマの寿命となるケースも
・10年落ちのアルファロメオのセレスピードなども要注意
■プロが語った足回りがいいクルマ、よくないクルマ
本誌連載の国沢光宏氏の達人コラムで何度か紹介された「ネオチューン」でも有名なこの道のスペシャリスト、サンコーワークスの喜多見孝弘氏に話を伺った。
まず、作業性では「ハイエースがいいですね。隙間が多くて手が入りやすいですし、構造自体もシンプルですから足回りもバラしやすいと文句なしです」。
続いてジャンル別に足回りのいいクルマを選んでもらった。
「コンパクトカーではスプラッシュ。ちょっと硬めですが、日本のコンパクトカーでは異例なほど足がしっかり動いていてビックリしました。ハイブリッドやEVといったエコカーだとリーフが圧倒的にいいです。あの味のふつうのクルマが出ないかと思うくらいです。SUVでは硬めだけど足がよく動いて不快感のないジューク、ザックス製ダンパーの採用もあって腰があるX-トレイルとデュアリス、意外なところではFJクルーザーはダンパー自体がいいです。
ミニバンではエルグランドが高次元でハンドリングと乗り心地を両立させています。セダンでは昔のフランス車のように柔らかいのに腰があるティアナ、20インチタイヤなのが信じられないくらい乗り心地がいいフーガ、驚くほどシャープに動くレクサスLS460ですね」。
●そのほかのポイント
・現行オデッセイに代表されるホンダのミニバンのリアは作業性がよくない
・ダンパーの造りでは一番しっかりしているのがKYB、次が日立、ショーワはいいものもあるけどそれほどじゃないものもあり
■プロが語った塗装がいいクルマ、よくないクルマ
日本有数のコーティング技術を持つポリッシュファクトリー代表の及川勝一氏に聞くと、
「日本車でいいのはトヨタとレクサスですね。全体的に安定して高いレベルの塗装になっています。特に先代プリウス、現行プリウスのマイチェン前までのパールホワイトなんかはセルシオやセンチュリー級でした。ただ、マイチェン後の現行プリウスあたりからは充分なクォリティではあるけど、塗装の厚みが薄くなっています。
次にいいのが意外かもしれませんがマツダです。マツダは国内生産がほとんどですから、『メイドインジャパンの高いクォリティを維持しよう』という強い意地のようなものがあるのかも。軽自動車ではトヨタ系だからかダイハツがいいですね」
日本車で塗装のクォリティがもうひとつなのは「ホンダとスバルですね。具体的には塗装って少し硬いくらいがいいんですが、ホンダとスバルは塗装が柔らかすぎで傷がつきやすいのと、近くで見るとちょっとネバッとした感じがして、美しさもいまひとつ。耐久性という意味では三菱の塗装はヤレが早い感じですね。それとレクサスのセルフ・レストリング・コートや日産のスクラッチコードといった細かい傷を自己修復する塗装は、3年くらいで機能が低下するのも気になります」。
輸入車に関しては「フェラーリが一番いいですね。フェラーリの塗装って昔は価格不相応でしたが、F360あたりからは塗装そのものが劇的によくなったのに加え、日本に入ってくる時のPDI(納車前整備)が物凄く入念になったようで、塗装に入った本当に些細なゴミの除去や磨き傷の補修なんかもまったくない状態になっています」
●そのほかのポイント
・アストンマーチンの塗装自体はいいが、納車前に変な磨き方をされているケースが目立っている
・日本車の塗装はコストダウンが目立ち、輸入車は全体的に良好
コメント
コメントの使い方カタログスペックだけ上げるのではなく、使うユーザーの事を考えた根本からの車づくりが出来ているか否かという所ですね。
見えている内装だのをより軽く安いものに変えるのはコストダウンじゃなく工夫。真のコストダウンは耐久性の優先順位を下げるメーカーの姿勢そのもの