ベテランのクルマ好きなら、フォルクスワーゲンにジェッタというクルマがあったことをご存知のはず。ひと言でいえばゴルフのセダン版だが、引き締まった走りとトランクを備えたボディは実用度が高かった。ジェッタってもう生産を終えたのだろうか?
文:ベストカーWeb編集部/写真:フォルクスワーゲン
■ゴルフの走りに広いトランクをプラス!
フォルクスワーゲン(VW)を代表するハッチバックモデル「ゴルフ」が誕生したのは1974年のこと。しかし当時は伝統的なセダンボディを好むユーザーもまだまだ多く、特にアメリカ市場には多くのセダン好きが存在した。
当時、VWにはすでにパサートが存在したのだが、初代パサートはクーペっぽいファストバックスタイル(2代目も同様)。そこでVWは1979年、ゴルフのボディにトランクをくっつけた端正なセダンを発売する。これが初代ジェッタだ。
以後ジェッタは、ゴルフの世代交代に数年遅れてフルチェンジするというルーティンを繰り返してきたのだが、ジェッタという名前が一貫して使われてきたわけではない。
1992年に登場した3代目はヴェント、1999年にデビューした4代目はボーラと呼ばれ、ゴルフとは異なる独自モデルという印象を強めた。とはいえこのネーミング戦略は4代目で終わり、5代目以降は再びジェッタの名に戻っている(北米市場では3代目も4代目も一貫してジェッタだった)。
こうして世界各国で支持を得たジェッタだったが、21世紀に入るとSUVの存在感が増し、セダンは乗用車の主流という地位を奪われ始める。
その結果、2005年にフルモデルチェンジした5代目を最後に、ジェッタは日本への輸入が止まる。6代目以降のジェッタは、セダン市場が根強い北米市場のための専用車種の色彩を強めていくことになった。
■いまは大型化してゴルフというよりパサート!
というわけでジェッタは現在も存在しているのだが、7代目となる現行モデルは初期のジェッタとはまるで異なる「大型車」となっている。
全長は4737mm、全幅1800mm、全高1465mmというボディは、ゴルフというよりパサートに近い。まもなく日本でも発売される新型パサートは全長が4917mmまでデカくなっているが、ここには北米のジェッタとの差別化が影響していそうだ。
そしてもうひとつニュースがある。中国でジェッタがブランド名として使われているのだ。
中国でVWは、中国第一汽車との間に一汽大衆という合弁会社を作ったのだが、2019年にこの会社が「ジェッタ」というブランドを立ち上げた。すでにジェッタ傘下からは小型セダンやコンパクトSUVが発売されている。
ゴルフの兄弟モデルとして生まれ、いまやブランド名にまで発展したジェッタ。かつての手頃なセダンという趣はなくなったが、今後も独自の発展を続けそうだ。
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