夏祭りの季節。こんな時は浴衣(ゆかた)で出かけたいが、クルマを運転するならちょっと待った。浴衣による運転は、道交法施行規則に違反することがあるのだ!
文:ベストカーWeb編集部/写真:Adobestock、Photo AC
■和装は運転の妨げとなりやすい
インバウンドの影響なのか、最近和装の人を多く見かける。暑い夏だって浴衣で過ごせば、涼しさもアップしそうだ。
しかしクルマを運転するってときは注意してほしい。浴衣を含む和装は、運転といまひとつ相性が悪いからだ。
誰でも想像が付くのは、浴衣とセットで履く草履。カカトが固定されないから脱げやすく(それがいいのだが)、アクセルやブレーキ操作には適さない。万一運転中に脱げて、ブレーキの下にでも入ってしまったら最悪だ。
浴衣の裾も邪魔だ。浴衣は身体に巻き付ける衣服だから、下半身の動き(ブレーキとアクセルの踏みかえなど)を制限してしまう恐れがあるのだ。同様にびよーんと広がった袖口も、ハンドル操作を妨げたり、シフトレバーに引っかかったりする。
■過去には僧衣のお坊さんが検挙された例も!
実はこうした危険を防ごうと、各都道府県の道交法施行規則では、運転時の服装を規定していることがある。たとえば秋田県では施行細則11条の2に以下の規定がある。
「運転操作の妨げとなるような服装をし、又はげた類、木製サンダルその他運転操作の妨げとなるような履物を履いて、自動車又は原動機付自転車を運転しないこと」
浴衣や着物は、上記の「運転操作の妨げとなるような服装」にあたり、この格好で運転していると違反とみなされる恐れがある。同様の服装規定は、秋田県のほか栃木県や愛知県、滋賀県などにもあるようだ。
実際青切符を切られた例もある。2018年9月、福井県で40代の僧侶が僧衣を来てクルマを運転し、交通違反に問われた。僧侶は「檀家回りができない」と反則金支払いを拒否し、属する浄土真宗本願寺派も僧侶を支持するコメントを発表、衆議院で政府見解を問う質問にまで発展した。
この騒ぎは福井県警が送致を見送ったことで落ち着いたが、衆議院での質問に対し、警察庁は「僧衣。和装での運転が違反になるかどうかは個別具体的な事例に即して判断すべき。取り扱いは各都道府県警察が適切に判断、対魚すべきもの」と回答した。
というわけで、和装による運転が一律で違反とされることはなさそうだが、運転における安全確保は重要。リスクが増すような服装や履物は避けたほうがいいといえる。
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