2024年6月3日、トヨタ、ホンダ、マツダ、スズキから「認証検査において不正があった」との報告があった。ダイハツの件から国交省がメーカー各社に調査を指示したことで発覚したこの不正。各社「ただちに使用を控えていただく必要はない」と言っているが、はたしてこの問題、誰がどう悪いのか。ここではトヨタの不正について掘り下げていく。
※本稿は2024年6月のものです
文:国沢光宏/写真:トヨタ、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2024年7月26日号
■認証以外の試験を独自実施。出力試験の数値書き換えは×
今回トヨタで不正とされたのは以下の6点。
1.エアバッグをタイマーで展開させたデータを認証申請に使用(2014年クラウン/2015年アイシス)
2.歩行者保護のヘッドインパクト試験を認証基準より厳しいJNCAP用の角度で行う(2015年カローラ)
3.歩行者保護の試験を申請と左右逆の場所で行った(2015年シエンタ&クラウン)
4.規定より700kg重い台車を使い後突試験を行った(2014年クラウン/2015年シエンタ)
5.新規定の認定を取っていない荷物試験用ブロックを荷室に積んで試験を行った(現行モデルのヤリスクロス)
6.エンジン出力が申請内容より低かったのでロムチューンした(2015年レクサスRX)
6件のうち2.と4.の2件は国交省より厳しい条件で行っておリ、消費者への影響なし。3.も認証試験以外で試験を行っており影響なし。
4.は事実上同じブロックのため影響なし。気になるのは1.と6.だろう。1.の内容を詳しく調べてみた。
対象車種は2車種。クラウンだけれど、認証基準としては2WDも4WDも共通データでいいことになっている。2WDは通常どおり試験を行い、フルラップ50km/h。
オフセット56km/hを余裕でクリアし、国際水準になっているJNCAP用の厳しいフルラップ55km/h。オフセット64km/hもクリア。
2WDのデータを4WDでも使えばよかったのに、なぜか開発試験用に行った(2WDとまったく同じタイミングでエアバッグを展開させるためタイマーを使い展開させた)数値を認証にも使った。
なぜそうなったのか、試験から10年経っているため不明ながら、トヨタとしては今回申告したそうな。ということで、市販車についていえば、国交省より厳しいJNCAPもクリアできる実力を持つ。
アイシスはシートベルトの変更を行ったマイナーチェンジモデル。シートベルトの性能を見るためタイマーでエアバッグの展開を遅くして(効果が低くなる)試験したデータを使っている。
もちろんエアバッグの効果を低くしてもJNCAPはクリアできている。市販車は正規のタイミングで展開するため心配しなくていいだろう。
6.のみ少し違う。シャシダイナモの出力試験で所定の数値に届かなかった。後にエキパイの変形だと判明したが、認証データ提出の期限に間に合わなかったためロムチューンして申請値をクリア。
ちなみに販売しているモデルは認証した出力が出ていることを市販前に確認済み。不正ながら、売っているクルマの出力はカタログどおり。
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