2024年6月3日、トヨタ、ホンダ、マツダ、スズキから「認証検査において不正があった」との報告があったことが明らかになった。ダイハツの件から国交省がメーカー各社に調査を指示したことで発覚したこの不正。こういった過ちはなぜ起きてしまうのだろうか? 抜本的な解決策はないのだろうか?
※本稿は2024年6月のものです
文:国沢光宏、ベストカー編集部/写真:トヨタ、ホンダ、マツダ、スズキ
初出:『ベストカー』2024年7月26日号
■問題の原因は国交省にもあり!
今回、国交省が「不正」や「改ざん」として真正面からメーカーを非難するカタチになったけれど、問題の原因は国交省にもあると考える。
なんせ認証申請してから認証が出るまでの時間が長すぎるうえ、国交省の外郭団体で行っているJNCAPや、海外の基準とのダブルスタンダードを要求されるからだ。
認証の遅さだけれど、開発が完了し、市販車として仕上がった時点で認証を申請すると、そこから最大で1年近くかかってしまう。その間ライバルに出し抜かれるかもしれない。
ひと昔前なら開発速度という点で欧米のメーカーより日本のほうが速かった。されど現在の相手と言えば開発速度の速い中国や韓国のメーカー。認証の遅さが開発現場にプレッシャーをかける。
不正問題で「会社が開発現場にプレッシャーをかけるのが原因」などと報じられるけれど、会社じゃなく認証の遅さだ。
だから開発中から認証に必要なデータを出していく。これ難しいです。ここにすべての問題の原因がある。認証のシステムを見直さない限り、我が国の自動車産業は手足を縛られる。
ダブルスタンダードの原因を作ったのも国交省だ。国交省は自分で作った認証基準より厳しい内容の試験を、JNCAPでやらせている。
だったら厳しいJNCAPのデータを認めればいいのにやらない。そろそろ認証制度の抜本的な見直しをすべきだろう。
電動化技術やADAS技術など新しい項目もダブルスタンダードを要求すれば、一段と認証にかかる手間や時間が増えていく。
(TEXT/国沢光宏)
■今後の動きは?
報道によると国交省は「国民経済に与える影響は最小限にしたい」と考えているものの、今回の不正対象車に入っている現行車(トヨタ3車種、マツダ2車種)はいずれも出荷、生産、販売を停止。
再開のメドはまだ立っておらず、影響は大きい。(2024年6月現在)
国交省の認証試験は国連基準と協調しており、独自判断での試験や解釈、基準変更は困難。一方、国産メーカーの仕向け地多様化や開発短期化は経営戦略に関わる問題。官民あげて最適解を話し合ってほしい。
(TEXT/ベストカー編集部)
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