■ボディまでチューンしたマニアックなスポコン―三菱・コルト ラリーアート・バージョンR―
一世代、約6年で消滅したため、あまり記憶に残っていない人もいるかもしれないが、コルトにラインナップされていたラリーアート・バージョンRはかなり攻めたモデルだった。
2002年にデビューしたコルトには、ターボエンジン搭載の「ラリーアート」がすでに設定されていた。
しかし、2006年に追加されたバージョンRではさらに走りに特化したチューニングを実施。三菱がモータースポーツで培ったノウハウが随所に注入され、スパルタンなホットハッチに仕上げられた。
まず、見た目からして強烈だ。最も目立つのはブラックのオーバーフェンダーで、冷却性を高めるために採用された開口部の大きなフロントバンパーやボンネットのエアアウトレットもスペシャル感満点。
パワートレインも強力で、1.5リッターMIVECターボは排気系を改良することで、クラストップレベルの154psを発揮。組み合わせるMTはゲトラグ社製の5速で、クラッチはザックス社製を採用。モータースポーツで実績のある欧州メーカーのパーツが、惜しげもなく投入されているのだ(CVTもあり)。
もちろん、足まわりやブレーキも強化されているが、バージョンRの特筆すべきポイントはボディ。通常比約1.5倍にもおよぶスポット溶接を増し打ちし、Dピラー周辺に補強を加えることで、ボディのねじり剛性を約30%も向上している。
ここまでチューニングされたコンパクトカーは、そうそうないだろう。
■現代のボーイズレーサーは軽量ハイパワーの元気印―スズキ・スイフトスポーツ(現行)―
ただでさえMTのスポーツモデルが少ない時代において、現代のボーイズレーサーと言えるのがスイフトスポーツだ。初代から数えて4代目となる現行モデルは2017年にデビュー。
ボディサイズは全長こそ先代と同じながら、全幅を拡大してワイドトレッド化。スイフト初の3ナンバーとなった。
その一方で、新プラットフォームや軽量衝撃吸収ボディの採用、各パーツの最適化により先代比70kgの軽量化を達成。MT、ATともに車両重量は1トン以内に収まっている。
軽量ボディに搭載されるエンジンは、1.4リッター直4ターボユニット。ダウンサイジングターボだが、先代の1.6リッターよりも最大出力4ps、最大トルクは7.1kg-mも向上。過給応答性を高め、幅広い回転で鋭い加速を実現した。
ちなみに、MTは先代と同様に2〜5速をクロスレシオ化した6速、ATはパドルシフトを備えるトルコン式6速となる。
サスペンションだってチューニングされ、専用のハブベアリングやトーションビームにより車軸支持剛性を高め、ステアリング操作に対する追従性をアップ。さらに、専用スタビやスプリング、ブッシュ類を採用してロール剛性も最適化している。
軽量ボディにハイパワーなエンジン。これ以上ない理想的なパッケージの最強コンパクトなのである。
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