ドライ路もサマータイヤ以上にしっかり走れてアイス路もグリップする技術とは?
技術的ポイントとなるのがアクティブトレッドと呼ばれるゴム配合技術だ。一般的にタイヤのトレッドゴムは温度が高いと軟らかくなり、低温下では硬くなり柔軟性を失う特性がある。スタッドレスタイヤは低温下での硬化を防ぐシリカや軟化剤を配合し、氷雪路でのトレッドゴムの密着性を高めるようにしている。
しかし、このゴムではサマータイヤとしてのガッチリとした剛性感やシャープな応答性を両立させるのは難しい。スタッドレスタイヤはブロック形状やサイプの入れ方などでドライ路面での操安性やグリップ性能を高める設計を工夫してきたが、やはり限界はある。
アクティブトレッドのキーとなるのが「水スイッチ」と「温度スイッチ」だ。
・水スイッチ
トレッドゴムに配合されるポリマーは、通常「共有結合」と呼ばれる強固な化学的結合で結びついており、これは加水などで緩むことはない。
アクティブトレッドではこの共有化都合の一部を加水により緩む「イオン結合」に置き換えることで、トレッドゴムが水分に触れた際に柔軟化してウエット性能を高める効果を発揮する。イオン結合は水分が抜けた際に再結合し、ゴムの剛性が復活する可逆性を有することが点が大きなポイントなのだ。
・温度スイッチ
従来、グリップ成分はポリマーと一体だったものを、一部成分をポリマーから分離して機能する材料を新開発。常温下ではサマータイヤ同等の剛性を保ちながら、氷雪路面の低温下ではスタッドレスタイヤ同等の柔軟性を発揮するゴムとしたのが「温度スイッチ」。
これらの新技術を組み合わせることで、夏タイヤとスタッドレスタイヤの性能を、それぞれのタイヤが望まれる環境下で最適に発揮できるのがシンクロウェザーが二刀流と言われる理由なのだ。
シンクロウェザーには氷雪路性能の高さを示す「スノーフレークマーク」が付与されているのだが、さらに、国連規定で定められた氷上性能の基準をクリアしたタイヤにのみ付与される「アイスグリップシンボル」が付与されている。高いアイス性能を第三者機関が認証した、ということだ。もちろん冬季の「冬用タイヤ規制」に適合する。
ドライ路面での走行性能はまた改めてお伝えするが、直進性や乗り心地、そしてオールシーズンタイヤではしばしば指摘される“シャー”という高周波のノイズなどもしっかりと抑えられていて、一般的なサマータイヤと同等か、それ以上の性能を確認している。
シンクロウェザーは「アクティブトレッド」という革新的なトレッドゴム技術を採用したことで、これまでのタイヤの常識に挑んだ意欲作だ。その性能をぜひ体感していただきたい。
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