三菱の「FTO」を、皆さんご存じであろうか。今回取り上げるのは1994年式に発売された、少しマニアックなこのクルマ。三菱が放った2Lスポーツのこのクルマは見るものをワクワクさせ、イージードライブとスポーツドライブを両立させていた。今回は発売当時の記事から、そんなFTOのインプレッションはどうだったのかを探ってみた!
この記事はベストカー1994年11月号(著者は伏木悦郎氏)を転載し、再編集したものです。
■NA、2LのMIVECエンジンは200馬力!?
FTO……。キミはこのネーミングを懐かしい響きとして感じる? それとも新鮮な響きとして感じる?
FTOとはFresh Touring Originationの頭文字。つまり″新鮮で若々しいツーリングカーの創造″という意味だ。今から23年前、1971年にギャランクーペFTOというクルマが登場した。
折からのオイルショックの余波を受けてわずか4年という短いライフで消滅してしまったこの初代FTOは、ギャランGTOの弟分として、新しい価値観をもったライトウェイトクーペとしてその存在をアピール。
あれから19年。再び僕たちの前に姿を現わしたニューFTOは、コンパクトながらボリューム感あふれたダイナミック&アグレッシブなボディに、200馬力というハイパワーMIVECエンジンを搭載した魅力あふれるスポーツクーペ。
FTOの目指したスポーツカーの世界は、あくまでもスポーツを日常の一部分として、毎日の足として走らせたときにも気持ちよく、楽しく走ることができる、そんなクルマであることだという。
新開発のスポーツモード付きAT、INVECS-Hの採用も、FTOのコンセプトをよく表わしているじゃないか。
■ドライバー中心のコックピットデザイン!!
FTOのコックピットはスポーツカーに求められる適度なタイト感と、それでいながら窮屈感を感じさせないほどよい空間が演出されている。
インパネはメーターパネル、サブメーター、各種のスイッチ類をブロック化し、情報や操作類別ごとに重要度に応じたゾーニング処理をすることで、ドライビングに集中しながらも瞬時に必要な情報を得て、そして必要な操作を行うことも可能にする。
ドライバーの体をサポートする唯一のパーツ、シートだってもちろんFTOならではのこだわりがある。
ヘッドレスト一体型のバケットタイプシートは、スポーツドライブでの確実なホールド性と、長時間のクルージングでの疲労軽減を両立させる人間工学に基づいた形状。
あくまでもドライバーを中心としたインテリア、これこそがFTOのスポーツマインドなのだ。
■MAX200馬力!? パワーユニットと足回りもよく作られてるんです
FTOに搭載されるエンジンは3タイプ。すべて自然吸気(NA)のハイポテンシャルエンジンだ。
シリーズ最強のV6、2L、6A12型エンジンは最高出力200馬力、最大トルク20.4kgmを発揮。MIVECをキャンセルしたノーマル6A12だって170馬力、19.0kgmと充分なスペック。
この6A12型ユニットはクラストップレンジのコンパクト&軽量ユニットで、これが運動性能にもいい影響を与えることは自明の理だ。
また、スポーツカーにとって足回りはエンジンと同等か、それ以上に重要なファクターである。もちろんFTOはここにだって抜かりはない。
フロントサスペンション、ランサー、GTOなどで実績のあるストラットタイプを採用。取り付け部にサブフレーム構造を新採用することで、サスペンション取り付け剛性を大幅にアップ。
ロアアーム取り付け点を車輪中心とほぼ同位置まで前進させることで横剛性をアップさせるなど、FTOならではのチューニングがなされている。
一方リアサスペンションにはトレーリングアーム式マルチリンクタイプを採用。
新たにリンク配置、ブッシュ特性の見直しで、コーナリング時、加減速時のタイヤの接地変化を最小限に抑えるセッテイングが施され、タイヤの性能を100%発揮させた高次元での操安性を実現させている。
走る、曲がるに加えてストッピングパワーもFTOは全車フロントベンチレーテッドの4輪デイスクブレーキを採用することでクリア。
特にハイパワーユニットを搭載するGPXではフロントに大径15インチベンチレーテッドディスク&2ポッドキャリパーを装着し、そのパワーに見合ったストッピングパワーを得ている。
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