【国産車では異色!?】スバル車のハンドル なぜ重い?? 「重さ」で変わる長所と短所


「ハンドルが重たい車」と聞くと、どんな車をイメージするだろうか。

 ドライバーの誰もが操るハンドルながら、実は同じ速度で同じように切ったとしても、その「重さ」は車によって違う。

 ひと昔前まで「輸入車はハンドルが重たい、国産車はハンドルが軽い」といわれていたが、昨今の輸入車は、そのほとんどが「軽い操舵力」に変化してきている。

 一方で逆に、日本車メーカーで「重たいハンドル」にこだわっているメーカーがある。それがスバルだ。

 なぜ、スバル車はハンドルを重めに味付けしているのだろうか。日産でハンドリング性能の開発エンジニアをしていた筆者が解説する。

文:吉川賢一
写真:SUBARU、編集部

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特に重いのはどの車種? 重いハンドルと軽いハンドルの長短

スバル車のなかでも特にステアリングが重めに設定されている本格スポーツモデルのWRX STI

 スバル車の中でも、特にハンドルが重たい車と言えば、真っ先に浮かぶのが「WRX」だろう。据え切り時から感じる「ズシリ」とした重みは、ちょっと覚悟が必要なほどに重たく感じる。

 ハンドルが重たいとは言っても、慣れてしまえば運転に支障をきたすことはないが、インプレッサスポーツなど、スバルの一般的な乗用車であっても、他メーカーの同セグメントの車種と比べると、3~4割ほどは重たく感じる。

 ステアリングを重めに味付けするメリットは、高速走行時に風などの外乱でハンドルが動かされにくく安定する点や、ダイレクトなハンドリングとなる点などが挙げられる。

 逆に短所は、ハンドルへの反力を常に手で支えるため、長時間の運転では疲れやすい、据え切り時のハンドルが重たく切り返しに苦労する点であろう。

 軽い操舵力の場合は、その真逆となる。

 特に、高速走行時にも軽い操舵力だと、プラプラして不安に感じる方がいるかもしれない。ただし、昨今主流の車速感応式EPS(電動パワーステアリング)のように、高速走行時に操舵力を適切に設定することができれば、致命的な短所とはいえない。

ハンドルの重さにトレンドあり! 「輸入車は重い」かつての常識も変化

2005年から2012年まで発売された第5世代のBMW 3シリーズ。この頃までBMWだけでなくハンドルが重い輸入車は多かったが、そのトレンドは大きく変化してきている

 実は、操舵力にはトレンドがある。

 昨今のトレンドは、「据え切り時は軽く、車速が高いときには操舵力を増す」という設定である。

 一部のスポーツカーを除けば、特にBMWやメルセデス、アウディ、フォルクスワーゲンなど、長距離移動を前提とした欧州メーカーでは、どこもこのトレンドに乗っているように感じる。

 もちろん、スバルほどのメーカーであれば、ハンドルを軽くしようと思えばできるはずだ。しかし、筆者が近年試乗したスバル車は全体として、やはり「切り始めが重たい」印象である。

 ちなみに、ハンドルが“重ステ”(編注:パワステが非装備でステアリングが重たいことを指す)だった時代はさておき、ひと昔前のハンドルの重さ(=操舵力)は、油圧式パワーステアリングの持つ特性によって、ある程度セッティングできる幅が決まっていた。

 一般的な油圧式のパワステは、ドライバーがハンドルを回すと、ハンドルから前方に伸びている「トーションバー」という接手にトルクがかかり、捩じれによって生じた隙間にパワステオイルが流れ、ピニオンギアの回転力をアシストし、ラックギアを滑らせながら動かすさせる。

 このオイルの流路が広ければアシスト力を大きくできる(=ハンドルは軽くなる)が、トーションバーを大きく捩じることになるため、今度はハンドル操作のダイレクト感が失われてしまう。

 そのため、ハンドリングを優先するような車種では、むやみにトーションバーの捩じり剛性を落とすことができなかったそうだ。

 つまり、高速走行やカントリー路を速いスピードで移動する場合に、ハンドル操作のダイレクト感を優先していた輸入車などは、ハンドルの操舵力は重たくならざるを得なかった、というわけだ。

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