「両側」と「片側」人気があるのは?
売れ行きは4ドアと5ドアでどちらが好調なのだろうか。
「販売台数が多いのは5ドアです。両側から乗り降りしたり、荷物を出し入れできますから、価格が少し高くても便利な5ドアを選ぶお客様が多いです。上級グレードの『スーパーGL』は、5ドアのみで4ドアは設定していません」
「またハイエースは中古車市場で人気が高く、数年後に売却する時の条件も良いですが、この時も5ドアが少し有利です」
「例えば店舗の脇に駐車場があり、そこから荷物を降ろして店内に運ぶような用途では、駐車場の位置によって右側にスライドドアがないと不便です。そうなれば売れ筋はさまざまな条件で便利に使える5ドアになり、中古車価格も高まって高値で手放せるわけです」
以上のように、4ドアにも棚を装着しやすいといったメリットはあるものの、一般的には両側にスライドドアを備えた5ドアが便利に使えて人気も高い。
ミニバン普及で定着! 両側スライドドアの利点と欠点
ちなみにミニバンも1990年代には、右側にドアを装着しない4ドアが多かった。
例えば1991年に発売された初代セレナ(正確にはバネットセレナ)は、4ナンバー車になる商用車のカーゴには5ドアを用意したが、乗用モデルはすべて4ドアであった。
1996年に発売された初代ノア(タウンエースノア&ライトエースノア)も、5ナンバーミニバンとなる3列シートのワゴンは4ドアで、同じボディを使う商用バンには5ドアも用意した。
この時も「右側から乗り降りできないと不便」という声が聞かれ、その後のモデルチェンジなどでワゴンにも5ドアを設定した。4ドアは人気を下げて廃れたが、5ドアとは違うメリットも指摘されていた。
それは子供の飛び出しを防ぐ効果だ。セダンなどの横開きドアなら、停車後にドアを開いた時でも、斜め前方はドアパネルで塞がれている。横方向に降車しなければならない。
ところがスライドドアでは、斜め前方が開放されるため、子供の飛び出しを誘発しやすい。路上のコインパーキングに駐車した時などは、きわめて危険だ。
しかもスライドドアは、開いた時にドアパネルが外側へあまり張り出さないから、横開きに比べて後続車両がドアの開閉に気付きにくい。子供の飛び出しを前提にすると、スライドドアの優れた乗降性は、すべて危険な要素に変わる。
この点を踏まえると、右側にスライドドアが装着されていなければ、少なくとも車道に直接飛び出すのは防げる。ミニバンは子育て世代に人気の高いカテゴリーだから、飛び出し防止の効果が4ドアのメリットとして注目された。
今のミニバンはすべて5ドアだから、飛び出しの危険性は依然として残り、子供を持つ皆さんは充分に注意していただきたい。
可能な限り路上のコインパーキングは避けて、安全な駐車場を利用していただきたい。飛び出しの危険性を子供に分かりやすく、丹念に教えることも大切だ。
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