ついに、ようやく、マツダ3の“真打ち”SKYACTIV-X搭載車に試乗。画期的なエンジンの評価や如何に!?
マツダの新世代商品群第一弾として、「マツダ3」が発売されたのは2019年5月のこと。そして12月5日、ついに期待の新エンジン「SKYACTIV-X」搭載車が追加発売された。
マツダ自身が「ガソリンエンジンとディーゼルエンジンのメリットを兼ね備えた」と豪語するSKYACTIV-Xは、世界初の技術も搭載する、まさに真打ちといった位置づけのエンジン。
そのぶん価格も通常の2Lガソリンエンジン比で約60万円高となるが、果たしてその実力は? 自動車評論家の清水草一氏がレポートする。
文:清水草一
写真:池之平昌信
ベストカー 2020年1月10日号
【画像ギャラリー】真打ち登場!! マツダ3 SKYACTIV-Xとその長所を図解
一番興奮する“地味に良い加速”とは?
ズバリ、「地味にいい」。あるいは「フツーにいい」。そんな感じでした!
地味&フツーにいいってのは、スペックを見るだけでもわかる。燃費の改善率は2割くらいで、最高出力180ps、最大トルク22.8kgm。2LのNAエンジンとしては、そこそこパワフル&効率的というレベルだ。
いや、トルクは数字以上のものを感じました。一番気持ちよかったのは2000~3000回転あたりの中間加速だ。普通に巡行してる状態からアクセルを軽く踏み込んだだけで、レスポンスよく「グググッ」と加速してくれる。この領域での加速感は少しディーゼルっぽい。
なにせSKYACTIV-Xは、世界で初めてディーゼルと同じ圧縮着火を実現したガソリンエンジン。低い回転域でのトルク感が、ディーゼルエンジンっぽいのもなんとなく納得できるっしょ?
それでいて、ガソリンエンジンらしく、高い回転までキレイに吹き上がる。高回転域での伸び感は、まさにスポーティなNAエンジンだ!
ただ、基本的にはフラットトルクでパワーもそこそこなので、コーフンさせるような感覚は薄い。一番興奮するのは、前述の2000〜3000回転あたりの地味な加速でした。なので、全体の印象が「地味&フツーにいい」というものになるのです。
地味で普通な良さは「善」である
この地味でフツーなよさ、間違いなく「善」ではある。メカ解説を聞けば聞くほど、死ぬほど複雑かつ困難な技術的課題を乗り越えて実現させたんだと納得させられる。お値段がフツーの2Lガソリンより68万円高いのも仕方がない。
でも、それで得られる性能を考えると、ちょっと68万円プラスは合わない。これが20万円プラスくらいだったら、お買い得なんだけど。
今回は6ATと6MT、両方乗れたけれど、どっちがいいかは好みの問題ですね。なにせフラットトルクなので、どっちとの相性もイイ。MTのほうが特段楽しいということはなかったです。
マツダ3 買うならディーゼルorガソリン、それとも本命「X」?
さて、それではマツダ3を買うなら、どのパワーユニットがオススメとなるか?
まず、SKYACTIV-Xだが、これはメカオタク限定だろう。実利ではなく、このメカそのものに68万円払える人じゃないとちょっと手が出ない。1.8Lディーゼルターボと2ℓのノーマルガソリンエンジンは手堅い選択だが、物足りなさが残る。
今回は初めて1.5Lガソリンにも乗ることができましたが、これが意外に好印象!
そりゃまぁパワーはあんまりないけれど、伊豆のキツい上り坂も問題なく登ってくれたし、車体が軽いぶん動きは一番軽快。
元気に走ろうとするとシフトダウンしまくるので(6AT車)、音が少し気になるが、音質がスポーティなので許容範囲。お値段はSKYACTIV-Xよりざっくり100万円安い。約230万円で、この美しいマツダ3が買えると思えば、これが一番のオススメかも!
付け加えると、意外とガツンとくる印象だったリアのショーションビームサス、今回は全グレードでしっとりしなやかだった。
7月登録のクルマも、どうやらサスがなじんだみたいです。
■マツダ3 SKYACTIV-X 主要諸元(プロアクティブ)
全長×全幅×全高:4460×1795×1440mm
エンジン:SKYACTIV-X(2.0Lガソリンエンジン+モーター)
最高出力:180ps/6000rpm
最大トルク:22.8kgm/3000rpm
モーター出力:6.5ps/6.2kgm
WLTCモード燃費:17.2km/L(FF車)
価格:319万8148円(FF車)
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