「日産N7」現地で独占試乗!!! 感じたのは「スカイライン」のような自然な乗り味 ”手練れ日本人エンジニア”の思いと実力がすごい

「日産N7」現地で独占試乗!!! 感じたのは「スカイライン」のような自然な乗り味 ”手練れ日本人エンジニア”の思いと実力がすごい

 東風日産が中国で販売するBEVセダン「N7」。発売から1カ月で1万5000台を販売するなど、まさに中国での日産に追い風を吹かせたスーパーセダンだ。しかし、中国メディアの評価の伝聞だけでは真価は測れない。そこでなんと編集部が中国・広州の東風日産に飛びました!

文:ベストカーWeb編集部/写真:編集部、日産

【画像ギャラリー】日産らしさ全開!!! セダンは厳しいけどSUVもあれば日本でも??? 日産N7の圧倒的質感に感動(9枚)画像ギャラリー

日本が見失った日産らしさは取り返せないのか?

東風日産の本社に展示されたN7。堂々たる存在感!!!
東風日産の本社に展示されたN7。堂々たる存在感!!!

 日産の持ち味ってなんだろうか? 自動車メディアを見る読者にとっては「技術の日産」であり「走りの日産」であり、スカイラインGT-RやフェアレディZ、シーマなど特定車種を挙げる人もいるだろう。

 しかし間違いなく言える「日産イズム」とは、ドライバーのみならず乗員が安心して走れること、そして安全に確実に目的地に辿り着くこと。そのために操安性能を磨いてきたし、かつての901運動などとんでもなくキレッキレハンドリングの車種を生んだ歴史がある。

 日産にファンがつくのはその走りを徹底的に煮詰めた開発陣の意気込みを感じること、そして先進安全装備の開発など時代にキャッチアップしていることだろう。

 しかし残念ながら今の日産には「選ばれる理由」を持つ車種が減ってしまったのも事実だ。「なぜそのクルマを選ぶのか」という動機づけが減ってしまった。

N7は発売1カ月で1万7000台以上を販売した
N7は発売1カ月で1万7000台以上を販売した

 個性的かつ、誰が乗っても心躍るハンドリング、そして同乗者も快適に過ごせる。そこにはニスモも含めて歴史に裏付けられた「日産イズム」が蓄積されていた。

 ベストカーWebが先行試乗したエルグランド、パトロールの足回りは目を見張るものがあった。まさに「日産だよね」という感じがあり、少しずつ復活へのあゆみを進めているのもわかる。しかしどちらも高価格帯の車種だ。著者も含めて日産ファンにとっては歓喜の瞬間だが、世間一般の消費者が持つであろう厳しい見方をすればそれくらいの完成度は必然であるとも言える。

 しかし日産は日本のみならず海外でも車両開発をしている。300万円台で買える東風日産のN7がまさにホットな車種だろう。中国でデザイン、開発も実施。味付けまでも現地なのだ。中国市場では絶賛のN7は本当に日産らしさがあるのか。気になって今回は東風日産に飛ぶこととなった。

日本人と現地スタッフの融合で成立する「日産らしさ」

公道ではモメンタの運転支援システムも体験。ブレーキングの制御は東風日産オリジナルだが、車酔いがしにくいのはさすが
公道ではモメンタの運転支援システムも体験。ブレーキングの制御は東風日産オリジナルだが、車酔いがしにくいのはさすが

 広州空港に降りた地、60分程度走った「花都」にある東風日産の開発拠点にたどり着く。開発拠点とは言ったものの、本社、デザインセンター、サプライヤー拠点などがグッとまとまっており、日本の日産拠点でいえば厚木と栃木と横浜本社がひとつになったような雰囲気だ(規模は小さいがけれど)。

 秘匿区域なので画像や動画がないのが申し訳ないが、N7を前にスタッフの説明を受ける。すでに日本の日産では定年を迎えたエンジニアのA氏がおり、日産イズムの薫陶を滔々と受けた。それにしてもなぜこのA氏は中国にいるのだろう。

 その「解」こそN7なのだ。実はN7は日本の本社は製品開発のゴーサインを出したのみで、デザイン、実車開発などはすべて東風日産で実施されている。クルマを生産するノウハウは東風日産にもあるが、開発するノウハウは日産が優位。そのノウハウを持ったA氏が広州に降り立ったというわけだ。

 A氏は「我々は中国でアリアを出して苦戦した。日産が作ったBEVだから大丈夫と思った。そうしたら中国市場ではダメだった。中国でウケるEVではなかった」とポツリと語った。

車内でくつろぐという文化を理解するのが大切だった。ハードがよくても、最低限のニーズを満たさないと選ばれない
車内でくつろぐという文化を理解するのが大切だった。ハードがよくても、最低限のニーズを満たさないと選ばれない

 中国でウケるEV。なぜカラオケや大きなディスプレイが車内にあるかといえば、かつての我が国の「モーレツ社員」レベルの激務の日々を過ごす中国の人にとって、車内は唯一の「マイスペース」なのだ。職場でも忙しい、家庭でも両親や親戚縁者との暮らしで居場所がない。帰宅後に駐車場で動画を見たり、音楽を聴いたり、自分自身がリフレッシュできる場がEVなのだ。

 そのニーズを日産は理解していなかった。そしてA氏は続ける。

「中国のEVはたしかにインテリアや自動運転など進んでいる部分もある。だけれどクルマ作りを知らない。ブレーキの制動、足回り、すべての調和が取れていないから上物と下がバラバラ。こちらの開発の皆さん、そして現地サプライヤーとタッグを組めばライバルに追いつき、追い越すことは絶対にできます」

次ページは : 「日産なら当たり前でしょ、これくらいできなきゃどうすんのよ」

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