最近自動車メディアに登場頻度の高い日産パトロール。日本で「サファリ」として愛されていた1台だがどうやら日本導入はかなり本気だという。もちろん最優先車種ではないのだが、それでもこれだけ日本向けに試乗会をやるってことは……。
文:ベストカーWeb編集長 塩川雅人/写真:NISSAN
どうやら日産は本気で日本投入を目指しているらしい
日本人ジャーナリストを日産がサウジアラビアでの試乗会に招待した。一部のジャーナリストだが、日本未発売モデルをわざわざサウジアラビアまで招待するのだからそれこそなにかしらの意図はあっただろう。
その後も本社での展示車の取材やメディア試乗会などの機会を提供し続け、今回筆者は初めて(ベストカーWebとしては2回目)の試乗機会を得た。
もちろん車両のインプレッションも大事なのだが、読者からすれば「日本で出さないモデルの試乗記事なんて読む価値がない」と思われるだろう。
日夜、記事のアクセス分析をしていればそのような傾向は顕著に出るものだし、我々としてもあまり無意味に煽りたくはないところ。複数の日産関係者にパトロールの本当のところを聞いてみると異口同音にこう語る。
「出したいんです。もちろん日産がこういう状況ですけど、今後のラインナップに加えてフラッグシップ4WDを日本市場にも出したい。だからこそメディア向けの試乗もあるわけで、ぜひ読者の皆さんの反響を聞きたい」。
ということで、ほぼほぼ確実的にパトロールは日本市場に投入されるだろう。「日産がそんなことやっている場合か」という指摘もごもっともだが、もちろんリーフ、軽自動車、エルグランドなどの収益性の高いモデルが優先されるはず。
もっといえばキックス(e-POWER版もあるか?)の投入も急ぎたいが、とにかく日産には復活の象徴となるようなモデルが必要だ。まさに2001年のZ33フェアレディZのようなイメージ。それがパトロールなのではないか?
乗り味は「ランクル300とは別ベクトル」
前段が長くなったので早速試乗記に移ろう。ランクル300と比較するメディアが多い日産パトロールだが、試乗してみればまったくもってベクトルが異なる。
ランクルが世界中の荒野で扱われるモデルなのに対し、パトロールはやはり中東での使用を大きく意識している。猛暑での冷却など「砂漠仕様」になっている。
乗り味も同様だ。ランクル300が「キッチリ」したソリッドな乗り味とすれば、パトロールは明らかに「ゆったり」したモデル。ややダルな印象も受けるがその動きはかなりおおらかで懐が深い。
ハンドリングもパワステのセッティングがこれまた絶妙で好感触。ランクル300ではきっちりとした軽快感も覚えるスポーティなものだし、この手のモデルの始祖とも言えるメルセデスのGクラスはもっとスポーツカーライクだ。
だがパトロールはまったく違う。もちろんステアリング反応が遅いということはないが、コーナーで大きな車体がノーズをねじ込むと少し遅れてリアの向きが変わる。感覚とすれば後輪操舵がついているようなイメージだ。
さらにパワステのチューニングも絶妙だ。きっちりとリアの姿勢変化を待つかのように高負荷時にもグーっと粘るフィーリングがある。細かいS字カーブをややオーバースピードで突っ込んでも「おつり」がこないのはさすが日産のセッティング。
リアサスペンションはライバル比でもトップというが、筆者としてはブレーキのバランスについても特筆したい。まずストッピングパワーはかなり強烈だ。タッチもよく、初期はマイルドながらも踏み足して行くとグーっと沈み込む。
さらにリアブレーキもきっちり仕事をしている印象で、車両全体の姿勢変化を作り出せる。こコーナリング前のブレーキでも車両が中央部から下に押さえつけるようなイメージになり、巨体なパトロールながら非常に安心感が高い。











コメント
コメントの使い方さすがに私じゃこれは買えないけど、一台あたりの利益も高いだろうし、エルグランドとGT-R無き今フラッグシップ的なイメージ戦略としては大正解無きがします。ランクルより更に一回り大きくさらにワンランク質感高いのもいい!!なによりデザインが日産らしく秀逸!!
物好きなお金もち様が買うだけの車になったとしても私は好き
日産の業績不振は、
「ラインナップの老朽化と削減による販売台数減少」
が原因であり、大手メディアが横一線で伝える、
「拡大戦略の失敗」
ではないですから、ラインナップの復活とモデルチェンジが復活の要だと言えますね。
こんなの日本で売れる訳ない。日産がダメになった原因が良く分かる。