フェアレディZはヤマハが試作した!? 徳大寺有恒が語るS30Z

■GT-Rと心臓を共有したZ432とS30のベストグレード

 フェアレディZには3つのエンジンがある。L20型直6、2LSOHCエンジン搭載のZとL24型直6、2.4LSOHCエンジン搭載の240Z、そしてスカイラインGT-Rと同じS20型直6DOHC4ヴァルブエンジン搭載のZ432である。

 L20はSUツィンキャブで130馬力を発生したが、けっしてスポーティなエンジンではない、丈夫で信頼性はこの上ないが、私は名機だとはさらさら思っていない。

流麗なスタイリングで現在でも人気の高いS30
Z432のネーミングの由来は「”4″バルブ/”3″キャブレター/”2″カムシャフト」といわれている

 Z432はスカイラインGT-Rと同じS20だけになんとも勇ましいものだった。5000rpmあたりから2段ロケットに火が付いたようにグンとトルクが出ていくが、なかなか実力を発揮してくれないし、サーキット以外その場所もなかった。

 もう時効だからいうが、この432で快感を味わった。当時日産の広報車に”R”仕様があった。豪華仕様を取り去り、深いバケットシートを与えられたものだった。

 こいつで東京を明け方の3時30分に出発し、東名を大阪に向かった。走行中ダブルカム、4ヴァルブ、6本のラムパイプの吸気音が混じり合い、室内はかん高いシンフォニーで覆われ尽くした。

 しかし、私のベストは240Zだ。L24型は150ps/5000rpm、21.0kgm/4800rpmを発生した。この21.0kgmの最大トルクはZ432の18.0kgmに3kgm勝っていた。

 Z432Zのスポーツ性は1番だが、メインテナンスに手がかかりすぎる。その点、240Zは3速ATでも楽に高速巡行ができ、低速トルクはホイールスピンを見せるほどだった。

 240Zには240Z-Gというロングノーズモデルがあり、空気抵抗が減るため、最高速が伸びたが、オーバーハングが大きくなり、運転がしにくかった。

 また240Zよりも25kg重くなった。ロングノーズのZをさらに鼻を伸ばした240Z-Gは人気となったが、運転が楽しいのは240Zあるいは装備のいい240Z-Lのほうだ。

"Gノーズ"というロングノーズを装着することで空気抵抗削減を狙ったモデル
“Gノーズ”というロングノーズを装着することで空気抵抗削減を狙った「240Z-G」

 ’74年になると4シーターの2/2が登場した。ホイールベースが300mm大きくなり、全長は240Z比+310mmの4425mmとなった。

 短時間でも4人が乗れることで実用性は増したが、GTカーとしてのバランスの取れたスタイリングと、それにも増してシャープなハンドリングを失ってしまった。

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