販売台数ランキング上位をハイブリッド専用車や経済性に優れたコンパクトカー、クロスオーバーSUV、そしてミニバンが占めるなか、いわゆる「スポーツカー」を開発・発売するのは厳しい時代になってきています。
それでも「走りの楽しさ」や「開発能力の育成」、「自動車メーカーとしてのイメージ」、「根強いファンへの提供」を大切に考え、今年も何台かのスポーツカーが発売されました。
当記事では2017年に発売されたスポーツカー3台をピックアップし、レーシングドライバーにして自動車ジャーナリストでもある松田秀士氏に、それぞれの分析と「通信簿」をつけていただきました。
スポーツカー好きの皆さま、今年もよい年でした。ありがとうございます。来年もよいクルマがたくさん発売されるよう願い続けましょう!
文:松田秀士
ベストカー2017年12月26日号
■スズキ スイフトスポーツ 2017年9月13日発売
ベースとなるスイフトよりも乗り心地も静粛性も上。つまり、ガチガチに固めたサスペンションではなく適度に動かせながら、しかもスポーティなハンドリングを実現している。
惜しいのは、やはり5ナンバーにこだわってほしかった。その意味では、スズキがちょっと変わり始めたかな? ということを感じさせられる1台。
ターボエンジンになってトルクフィールが安定し、200万円を切る価格でこれだけのクルマを作った技術力はスゴイ。
【どんなクルマ?】
4代目となる現行型スイフトスポーツは歴代で初めて3ナンバーボディとターボエンジンを採用した。それでいながら車重は1000kgを切る970kg(6MT車)を達成しており、走りの性能を進化させている。安全装備も充実。
【採点】
乗り心地……7点
インテリアの質感……6点
エンジンのパワー感……8点
操縦性の気持ちよさ……9点
日常的な使い勝手……9点
ファントゥドライブ感……8点
総合評価点47点(60点満点)
■ホンダ シビックタイプR 2017年7月27日発売
旧型は乗り心地が悪く、サーキットでも硬すぎた。新型はリアサスを左右が繋がったトーションビーム式から独立したマルチリンク式とし、サスペンションの動きにしなやかさが加わり、荒れた路面でもタイヤの追従性がよくなった。
これによって乗り心地も改善されている。快適性の向上はシビックセダン、5ドアモデルと同時開発によるところが大きい。
ただし、米国ターゲットのモデルゆえにボディサイズの大型化は必ずしも走りにプラスではない。ワインディングではその大きさゆえにダイナミックすぎ、アジリティー面では気持ちよさに欠ける。
そのいっぽうでエンジンレスポンスが向上し、レブマチックシステムによってヒール&トゥなしでダウンシフトがピタリ決まる。
【どんなクルマ?】
先代モデルのような限定車ではなく、カタログモデルとなった新型シビックタイプRは先代型よりもパワーを10psアップさせた320psの2Lターボを搭載。
【採点】
乗り心地……6.5点
インテリアの質感……7点
エンジンのパワー感……8.5点
操縦性の気持ちよさ……8.5点
日常的な使い勝手……7点
ファントゥドライブ感……7点
総合評価点44.5点(60点満点)
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