新型N-ONEの変わったけど変わらぬ魅力 走って楽しい6速MTが追加

 ホンダは、フルモデルチェンジをした新型の軽自動車「N-ONE」を、11月20日より発売開始した。

 2012年に発売された初代N-ONEは、ハイトワゴンながら全高が低く、レトロで可愛らしい雰囲気で、ファンからは根強い人気があるモデルだ。

 Nシリーズのなかでもクルマ好きの心をくすぐる「異端児」的な立ち位置を担うN-ONEは、ナンバー付きのワンメイクレース「N-ONEオーナーズカップ」が2014年から毎年開始されるほど、スポーティな面も持ち合わせている。

 今回のフルモデルチェンジでマニュアルトランスミッションのグレードが追加されたことも、ファンにとっては嬉しいところであろう。

 幸運にも新型N-ONEのステアリングを握ることができたので、興奮冷めやらぬうちに、新型N-ONEの魅力を存分にお伝えしたいと思う。

文/吉川賢一、写真/池之平昌信、ベストカー編集部

【画像ギャラリー】新型N-ONEを初代やN360とじっくり見比べてみよう!(33枚)


■「タイムレスデザイン」こそがN-ONEの個性

新型N-ONE-Original、カラーはフレームレッド。バンパー下部を踏ん張りのある造形とし、堀の深いヘッドライトを配することで、先代よりも走りのイメージが増している
こちらは初代N-ONE。エクステリアデザインに大きな変更はなく、新型ではヘッドライトとグリル、バンパーの造形が変更されている

 エクステリアデザインは、初代と見比べないと分からないほど、キープコンセプトで、細部のみを修正したような印象だ。

 LEDのデイタイムランニングランプを採用し、リアのコンビランプもフルLED化するなど、よく見れば変化はしているが、ホンダが提唱する「タイムレスデザイン」を、実直に遂行した結果、と思えばよくできている。

新型N-ONE-Originalのリアスタイリング。ボディカラーは新色のフレームレッド
初代N-ONEのリアスタイリング。リアコンビランプやバンパーのデザインが異なる

  ベースグレードのホイールカバーのデザインも、N-BOXスラッシュに採用されていた、センター部とリム部に分かれたパターンを採用し、N-ONEの世界観を独特なものにしている。

 RSグレードでは、フォグランプ周りがより引き締まり、ブラック基調のアルミホイールも相まって、スポーティな印象が増している。

ホイールカバーのデザインも、Nスラッシュに採用していたセンター部とリム部に分かれたパターンを採用し、N-ONEの世界観を独特なものに引き上げている

 N-WGNのようなハイテクデザインとは方向性を分け、N-ONEはデザインを変えずにプラットフォームを一新、先進技術を搭載して、走行性能と安全性能を飛躍的に進化させてきた。ホンダはN-ONEの良い立ち位置を見つけたと思う。

■断捨離に成功したインテリア

新型N-ONEのメーターの端から助手席まで伸びたインパネのデザインは、断捨離が効いて非常にすっきりとした印象がある。スイッチの操作性も、先代と変わらずやりやすいレイアウト
初代N-ONE 3連メーターやナビモニター、インパネの集中スイッチなど、もともと使い勝手に優れるレイアウトをしていた

 インテリアも、新旧N-ONEを見比べれば、相当すっきりとしている。インパネ上にあった造形物をそぎ落とし、潔いまでにシンプルに仕上げてきた。

 ナビモニターがインパネ最上段へと移動したことで視線移動の距離が小さくなり、なおかつ大型化したことで、運転時の確認がしやすくなった。

 ちなみに、メーター部分の衝立は、メーターへの光の映り込みを防ぐためにつけているとのこと。完璧な断捨離を目指すならば、衝立は無いに越したことはないが、運転する上では、気になることはなかった。

■軽快なCVT!! 荒々しさがかえって楽しい6速MT!!

新型N-ONE Originalのすっきりしたスタイリング。58psのNAエンジンは十分なトルクを発揮する

 試乗したのは、ベースグレードの「Original」(NA、CVT)、スポーツグレードの「RS」(ターボ、CVT)と、6速マニュアルトランスミッションの「RS」の3台だ。

 NAエンジン(最高出力58ps/最大トルク6.6kgfm)のOriginalは、すべてが優しい走り心地だ。加速、減速、コーナリング、直進性、いずれも運転操作がやりやすく、すぐに身体に馴染む。

 1名乗車であれば、50-60km/hで走る一般道から100km/h程度の速走行まで、無難に走り抜けることが可能だ。さすがに大人3名乗車になると、CVT特有のラバーバンドフィールが起きていたが、ベースグレードにそれまで求めるのは酷だろう。

 また、6速MT仕様を含めて、オートホールド付のE-PKB標準装備になったのも良い点だ。一段と、運転が楽になる。

RSの6MTモデルにも試乗。軽ターボは絶対的なエンジントルクが小さい分、速度を上げるには、2、3、4速と、矢継ぎ早にシフトチェンジをする必要はある

 ターボエンジン(64ps/10.6kgfm)の「RS」(CVT)は、明らかに速度が高まりやすい。NAと比べて、パワフルな排気音もあるので、強い加速感があり、また、硬めに仕上げられたサスペンションを明確に感じることができる。

 小さな段差乗り越し時の凹凸も感じるようになるが、街中での快適性も、ギリギリ確保されている。コーナーでのロールも、ベースグレードに対して減少しており、片輪だけ突起に乗ったときに、逆相入力時のボディの跳ね上げがあるのは、強化したスタビライザーの影響が表れているのだろう。

 後席シート上では、それなりに突き上げがある。一人乗車であれば、ギリギリ許容はできるが、同乗者にとってはやや厳しい旅路になると思われる。

 そして、注目の「RS」6速MT車は、CVTとは全く別物、といった感じで、ダイレクトな操作感がある。インパネから生えたシフトノブは小ぶりで、手のひらで覆いつくせる程のサイズだ。「ガチッ」としたフィールのシフトは、操作感がはっきりとするため、非常に好ましい。

 リッターカーのスポーツモデルと比べて絶対的なエンジントルクが小さい分、速度を上げるには、2、3、4速と、矢継ぎ早にシフトチェンジをする必要はある。その都度聞こえるエンジンの「グォー」というサウンドも、同じエンジンのはずのCVT版とは全く異なり、サウンドの荒々しさが逆に心地よい。

6速MTのシフトアップ時に聞こえるエンジンの「グォー」というサウンドも、同じエンジンのはずのCVT版とは、全く異なる荒々しさがあり、逆に心地よい

 ギア間の加速のつながりも良く、ポンポンとシフトアップ、シフトダウンを軽快に繰り返す操作は、MT好きにとっては、「これを楽しいと言わずしてどうする!?」と、いいたくなるほどだ。

 担当エンジニアによると、このマニュアルミッションの仕様は、純粋な軽スポーツであるS660と、商用車としても使われるN-VANの間で、落としどころを決めたそうだ。

 スポーツ寄りのN-ONE「RS」とはいえ、N-ONEにはシティ走行も重視するユーザーも多い。そのため、クラッチやステアリングの重さ、シフトの操作力などの解は、結果的に「S660とN-VANちょうど中間」という位置になったという。

 ちなみに、剛性感のあるシフトは、海外仕向けのCR-Vのマニュアルミッションの部品も用いており、ホンダ内のリソースを、最大限に有効活用して作り上げたそうだ。

 しかも、軽のMT車として初となるACCとLKASを採用、さらには、マニュアル車最大の懸念である「坂道発進」が、E-PKBのオートブレーキホールド機能によって安全・安心にできるのは、非常にうれしいところだ。

■長く愛されるモデルになる素質は十分にある

豊富なカラーバリエーションもN-ONEの魅力。全26色が設定され、グレードによって選択できるボディカラーが異なる。こちらはクリスタルブラック・パールのRS(CVT仕様)

 新型N-ONEの月販目標台数はわずか2000台。N-BOXやN-WGNが1万台以上売れているのに対しては、相当に控えめな数字だが、ホンダ広報担当者によると、「新型N-ONEを求めていたお客様へ、きちんと届けることが目的」だという。

 なおマニュアル比率は当初、2割弱と想定していたとのことだが、実際には3割以上に達しているという。新車でマニュアル車を購入する顧客が、まだこれほどいたのは、正直なところ驚いた。

N-ONEのスタイリングの原点となったホンダN360。その魅力は色あせない

 それほどにN-ONEは、マニュアルミッション仕様が待ち焦がれられていたモデルなのだ。ホンダの中にも、「買いたい」という人が相当数いるようで、自分たちが欲しい理想のクルマを作り上げたような印象をうけた。

 このN-ONEが大ヒットすることは、おそらくないだろう。だが、フィアット500やMINIのように、形を大きく変えなくとも、長く愛されるモデルになる素質は十分にあると思う。

 販売価格は、NAエンジン車が159万9400円~191万2900円、ターボ車が188万9800円~202万2900円。RSは199万9800円(ターボCVT、6MT共通、FFのみ)となる。

 200万円ちょっとで、最新の6速MTが手に入るのは、ほとんど奇跡だ。新型N-ONEは、ホンダがファンのために開発したクルマであり、ドライビングを存分に楽しんでいただきたい一台だ。

新型ホンダN-ONEのグレードと価格

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