■断捨離に成功したインテリア
インテリアも、新旧N-ONEを見比べれば、相当すっきりとしている。インパネ上にあった造形物をそぎ落とし、潔いまでにシンプルに仕上げてきた。
ナビモニターがインパネ最上段へと移動したことで視線移動の距離が小さくなり、なおかつ大型化したことで、運転時の確認がしやすくなった。
ちなみに、メーター部分の衝立は、メーターへの光の映り込みを防ぐためにつけているとのこと。完璧な断捨離を目指すならば、衝立は無いに越したことはないが、運転する上では、気になることはなかった。
■軽快なCVT!! 荒々しさがかえって楽しい6速MT!!
試乗したのは、ベースグレードの「Original」(NA、CVT)、スポーツグレードの「RS」(ターボ、CVT)と、6速マニュアルトランスミッションの「RS」の3台だ。
NAエンジン(最高出力58ps/最大トルク6.6kgfm)のOriginalは、すべてが優しい走り心地だ。加速、減速、コーナリング、直進性、いずれも運転操作がやりやすく、すぐに身体に馴染む。
1名乗車であれば、50-60km/hで走る一般道から100km/h程度の速走行まで、無難に走り抜けることが可能だ。さすがに大人3名乗車になると、CVT特有のラバーバンドフィールが起きていたが、ベースグレードにそれまで求めるのは酷だろう。
また、6速MT仕様を含めて、オートホールド付のE-PKB標準装備になったのも良い点だ。一段と、運転が楽になる。
ターボエンジン(64ps/10.6kgfm)の「RS」(CVT)は、明らかに速度が高まりやすい。NAと比べて、パワフルな排気音もあるので、強い加速感があり、また、硬めに仕上げられたサスペンションを明確に感じることができる。
小さな段差乗り越し時の凹凸も感じるようになるが、街中での快適性も、ギリギリ確保されている。コーナーでのロールも、ベースグレードに対して減少しており、片輪だけ突起に乗ったときに、逆相入力時のボディの跳ね上げがあるのは、強化したスタビライザーの影響が表れているのだろう。
後席シート上では、それなりに突き上げがある。一人乗車であれば、ギリギリ許容はできるが、同乗者にとってはやや厳しい旅路になると思われる。
そして、注目の「RS」6速MT車は、CVTとは全く別物、といった感じで、ダイレクトな操作感がある。インパネから生えたシフトノブは小ぶりで、手のひらで覆いつくせる程のサイズだ。「ガチッ」としたフィールのシフトは、操作感がはっきりとするため、非常に好ましい。
リッターカーのスポーツモデルと比べて絶対的なエンジントルクが小さい分、速度を上げるには、2、3、4速と、矢継ぎ早にシフトチェンジをする必要はある。その都度聞こえるエンジンの「グォー」というサウンドも、同じエンジンのはずのCVT版とは全く異なり、サウンドの荒々しさが逆に心地よい。
ギア間の加速のつながりも良く、ポンポンとシフトアップ、シフトダウンを軽快に繰り返す操作は、MT好きにとっては、「これを楽しいと言わずしてどうする!?」と、いいたくなるほどだ。
担当エンジニアによると、このマニュアルミッションの仕様は、純粋な軽スポーツであるS660と、商用車としても使われるN-VANの間で、落としどころを決めたそうだ。
スポーツ寄りのN-ONE「RS」とはいえ、N-ONEにはシティ走行も重視するユーザーも多い。そのため、クラッチやステアリングの重さ、シフトの操作力などの解は、結果的に「S660とN-VANちょうど中間」という位置になったという。
ちなみに、剛性感のあるシフトは、海外仕向けのCR-Vのマニュアルミッションの部品も用いており、ホンダ内のリソースを、最大限に有効活用して作り上げたそうだ。
しかも、軽のMT車として初となるACCとLKASを採用、さらには、マニュアル車最大の懸念である「坂道発進」が、E-PKBのオートブレーキホールド機能によって安全・安心にできるのは、非常にうれしいところだ。
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