■良い意味で期待を裏切られたのは「静粛性の高さ」
エンジンは、1.2リッター直列4気筒のK12C型デュアルジェットエンジン、もしくは、そのエンジンにISG(モーター機能付発電機)とリチウムイオンバッテリーを組み合わせたマイルドハイブリッドだ。
減速時のエネルギーを回生し、加速時にアシストすることで、燃費抑制と、良好な出足の加速をすることができる。
撮影機材一式と大人3人乗車ではあったが、想像していたよりも出足が良かったのは、このモーターアシストによる恩恵だろう。なおWLTC燃費は、ガソリン車が17.8km/L~19.0km/L、マイルドハイブリッド車は18.4km/L~19.6km/Lだ。
さらに、良い意味で期待を裏切ったのが「静粛性の高さ」だ。時速60km程度で巡行走行しているとき、ロードノイズの「ゴー」音が聞こえはするが、その音量は小さく、1クラス上のミニバンに乗っているような感覚になる。
減速していくと、途中からエンジンが休止するマイルドハイブリッドシステムによって、赤信号で停止する数秒前からより静かになる。
開発担当の方によると静粛性のアップは相当に苦労したそうで、エンジンを吸音するサイレンサーや、ルーフをたたく雨音抑制のための高減衰マスチックシーラーを採用、ホイールハウス内を覆うリアフェンダーライニングを全面化した。
またリアのトーションビームの内部に入れたスタビライザーの振れを防ぐスタビライザーストッパーなど、目に見えない部分へも潤沢に静粛性向上アイテムを導入したという。
これらのアイテムによる静粛性の高さによって、乗り心地まで良くなったように感じた。
実際には、フロントのバンプストッパーをウレタン化(通常は安いゴム製)したり、リアサスペンションのストローク量を増大したり、高応答・飽和特性ピストンバルブを使うなど、操縦安定性と乗り心地の改善も狙ったという。
さらには、ちょっと前までは欧州高級車にのみ見られていた「構造用接着剤」も、リアの開口部やリアフロアへ部分的に採用するなど、快適な移動空間になるよう追及したということだ。
■コストパフォーマンスに優れた一台だ
新型ソリオの販売価格は、ガソリンエンジン車のGが158万1800円~170万7200円、マイルドハイブリッド車が185万200円~214万8300円。ソリオバンディットは200万6400円~213万1800円。
筆者のおすすめグレードは、アイテムが充実したマイルドハイブリッドの「MZ」だ。
ライバルとなるホンダフリードやトヨタシエンタのように、3列シート車の計画は現時点ないようだが、さほど使うことのない3列目のために、余計な重量増加や追加コストをかけるよりも、割り切った広い車内を、リーズナブルに提供する方が賢い選択だ、といえる。
コストパフォーマンスに優れ、これほどに使い勝手の良いコンパクトミニバンはあまりない。月間販売目標4000台も余裕でクリアするだろう。ファミリー層にはぜひ検討に入れていただきたい一台だ。
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