メルセデスベンツ500E ポルシェチューンの最強セダン登場!!【徳大寺有恒のリバイバル試乗記】

■6.3や6.9とは違う洗練された走り力

 500Eの加速はまさしくロケットのごときものだ。何しろ0~100km/hは6.1秒、0~1000m 25.6秒というもので、これはポルシェ・カレラに匹敵するものすごいものなのだ。

 この加速を500Eはウルトラスムーズにフルオートマチックでアッサリと実現する。少なくとも、私の経験ではこのクルマほどスムーズに平和なうちに空恐ろしいほどの加速をするクルマはない。

500SLに搭載される90度V型8気筒DOHC32バルブを搭載したところが最大のポイント。330ps、50㎏mの強大なパワーとトルクを発生した
500SLに搭載される90度V型8気筒DOHC32バルブを搭載したところが最大のポイント。330ps、50kgmの強大なパワーとトルクを発生した

 メルツェデスはかつて300SEL6.3や450SEL6.9で、ものすごい加速の乗用車を作っている。

 しかし、それらと500Eは相当に異なる。6.3や6.9がストリートドラッグという性格を隠さないのに対して500Eは、あの500SLのすばらしく、スムーズなフィールを少しも失うことなく、6.3や6.9以上の加速を実現しているのである。

 濡れた路面では注意深く調整されたトラクションコントロールが500Eに最大の加速力と安全を与えてくれる。

 サスペンションは決して柔らかくはないが、乗り心地は決してドライバーにとって不快じゃない。ロールは適当で、あくまでもスムーズにコーナーをクリアする。

 スティアリングは少し軽めでそれでいて従来のメルツェデスよりもシャープ。このへんはポルシェ流を感じる。

 すばらしいのはブレーキで、それこそブレーキを踏む行為が楽しくなってしまうほどだ。

 このクルマは4人乗り、4ドアのGTである。それは300Eより速いだけではない、もっと高級でもある。静かでスムーズ、かつファンなのだ。

 300E(715万円)の2倍以上の1550万円だが、500SL(1580万円)よりも走りは上かもしれない。

 500Eは現代で最もメルツェデスらしい4ドアサルーンといえるだろう。

◎メルセデスベンツ500E主要諸元

全長:4755mm
全幅:1795mm
全高:1410mm
ホイールベース:2800mm
エンジン:V8DOHC
排気量:4973cc
最高出力:330ps/5700rpm
最大トルク:50.0kgm/3900rpm
車重:1700kg
トランスミッション:4AT
サスペンション:ストラット/マルチリンク
10モード燃費:5.4km/L
当時の価格:1550万円
登場年:1991年

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