ルノー カングー最終限定車に試乗!ディーゼル+MTの走りは“カングー”らしさ満載だ!!

■「リミテッド」は本国で人気のディーゼル+MT

 そんなカングーのフィナーレを飾る「リミテッド」には、本国のカングーで最も多い仕様であるディーゼル+MTが選ばれた。「フィナーレを飾る限定車は、もっとも活躍するカングーを日本のファンにも味わってほしい」というルノー・ジャポンの心意気なのだ。

 そのビジュアルは、現行カングーの人気仕様のエッセンスが積極的に取り入れられている。

写真のボディカラーは「グリ アーバン」。「ルージュ ビフ」(赤)や「ジョン ラ・ポスト」(黄)といった鮮やかな色の設定もある
写真のボディカラーは「グリ アーバン」。「ルージュ ビフ」(赤)や「ジョン ラ・ポスト」(黄)といった鮮やかな色の設定もある
鉄ホイールは本体だけでなく、センターカバーやホイールボルトも黒く加飾されている。リアバンパーには、車庫入れの際に便利なバックソナー付き
鉄ホイールは本体だけでなく、センターカバーやホイールボルトも黒く加飾されている。リアバンパーには、車庫入れの際に便利なバックソナー付き

 まず限定車で人気が高いアイテムのひとつである「ブラックバンパー&ドアミラー」と「ブラック鉄チン」を備えたフレンチシックな仕様に、限定車で好評だった4色とカタログモデルの2色を合わせた全6色のボディーカラーを用意した。

 特別装備としては、LEDデイライト、バックソナー、専用エンブレムを装着。インテリアカラーについては、カタログモデル同様のブラックのファブリックシートとなる。

黒を基調としたインパネはカタログモデルと同様
黒を基調としたインパネはカタログモデルと同様
前席。真っ黒ではなく、黒をベースに色分けされている
前席。真っ黒ではなく、黒をベースに色分けされている
後席も前席と同様の色分け。5人乗りだが、中央の席にもヘッドレストが付いているのが嬉しい
後席も前席と同様の色分け。5人乗りだが、中央の席にもヘッドレストが付いているのが嬉しい

 最大の特徴となるディーゼルエンジンは、正規仕様としてはカングー初。尿素SCRとDPFによる排ガス処理システムと最新のコモンレールシステムを備えた環境性能に優れたもの。

 エンジン仕様は、1.5Lの4気筒SOHC直噴ターボ(ディーゼル)となる。最高出力116ps/3750rpm、最大トルク260Nm/2000rpmを発揮。燃費消費率は、19.0km/L(WLTC)となる。

 ちなみにカタログモデルとなる1.2L直列4気筒DOHC直噴ターボ(ガソリン)は、最高出力115ps/4500rpm、最大トルク190Nm/1750rpmを発揮。燃費消費率は、JC08モードでの公表値となるが、12.9km/Lなので、ディーゼルのほうが圧倒的に燃費に優れる。ただ車重に関しては、ディーゼルのほうが70㎏重く、1520kgとなる。

■エンジンの味わい

 ディーゼルモデルを語るうえで、これまでのパワートレインについても触れておく必要があるだろう。

 初期型からフェイスリフト後まで長らく活躍した自然吸気1.6L直列4気筒エンジンは、ゆるいカングーのキャラには最適なおっとりしたもの。実用上の大きな不満はないものの、シグナルスタートで一歩遅れるカメさんであった。しかもATは、今どき4速。そのため、限られたパワーを使い切れる5速MTの支持率は高かった。

 その状況を一変させたのが、2014年登場のダウンサイズエンジンの1.2L直列4気筒DOHC直噴ターボだ。平凡なスペックではあるが、低回転のトルクが増したことで、発進加速も向上。シグナルスタートで出遅れることも皆無に。加速もよくなり、より乗用車らしさも増した。

 その一方で、最新型の洗練されたダウンサイズターボの走りが、おっとりした緩さの味わいが魅力のカングーと、ややミスマッチな部分があったのも本音だ。

■おっとりしつつ力強い加速はカングーにピッタリ

 さて今回の主役であるディーゼルMTに話を戻そう。最新型ディーゼルなので、エンジン音は意外と静か。ただ質素なカングーの遮音性は高くないため、ややエンジン音が元気に感じられる。しかし、うるさいというほどではないのでご安心を……。

搭載されるK9Kエンジンはそのまま日産「ジューク」のヨーロッパ仕様にも搭載されたほか、メルセデス・ベンツで使用される「OM608」ディーゼルエンジンのベースにもなっている
搭載されるK9Kエンジンはそのまま日産「ジューク」のヨーロッパ仕様にも搭載されたほか、メルセデス・ベンツで使用される「OM608」ディーゼルエンジンのベースにもなっている

 走りの差は発進時から実感。低速トルクが厚いディーゼルなので、クラッチミートは楽ちん。エンストとも、ほぼ無縁だ。アクセルワークに対するエンジン回転上昇は、ややおっとり。

 ただ回転数の上昇とともに、モリモリとトルクが沸き上がる。加速は、1.2Lターボのような俊敏さはないが、専用のクロスされた6速MTにより、パワーを紡ぎながら、スムーズに街中を駆け抜ける。一般道ならば、5速で充分。6速は完全にクルーズ用だ。

 その力強くゆったりとした走りは、まさにカングーにぴったり。車内に届くエンジン音に耳をすませば、メーターを見ずとも、シフトタイミングもばっちり図れる。シフトを巧みに操り、街中を元気に走らせる感覚は、ドライバーの胸を熱くするが、意外とスピードは出ていない。でも、それでいいのだ。法定速度内でも、操る楽しさが味わえるクルマは今どき、貴重だ。

 もちろん、トルクはしっかりあるから、多くの荷物と人を載せても、非力さは感じさせないだろう。これぞベスト・オブ・カングーと言い切れる。

 ただ導入台数は、最後の最後の生産枠一杯でもたった400台のみ。「カングーリミテッド ディーゼルMT」は、クルマ好きファミリーの日々をワクワクさせる最高の相棒となるだろう。迷わず、ディーラーにGO! と言いたくなる一台だ。

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