ホンダe試乗で実感 元F1メカニックが電動化への意気込みを実感

■街乗りには十分なドライブ性能、しかしネックはバッテリー

 最も大きいのはやはりバッテリー容量の問題だ。バッテリー自体の急速充電性の良さも、モータードライブの使い勝手の良さや性能も認めるのだが、絶対容量の少なさは、やはりドライバーのストレスになってしまいそうだ。

どんどん減っていくバッテリーには焦らされる。遠出には向いてないだろう
どんどん減っていくバッテリーには焦らされる。遠出には向いてないだろう

 例えシティーユース、アーバンライフに特化したクルマであろうと、夏のエアコン、冬のヒーター、雨のワイパー、夜間でのライトオンなど使用が重なれば、バッテリーのレベルゲージは見る間にそのパーセンテージを落としてゆく。30分の急速充電で80%充電が可能でも、あっという間に30%を切ってしまえば、即座に給電ステーションを探さなければならない。

 そしてインターフェースを司るタッチパネルは使い勝手は良いが、肝心のナビゲーションシステムが不親切だったのは残念。混んだ街なかでの複雑な車線変更やターニングポイントの指示の遅さや解り難さが気になり、市販のナビに負ける印象。ドライバーの生活に根ざしたコネクトの良さを自称するなら、ここはまだまだ開発の余地が残るところだ。

 試乗したホンダeを俯瞰して見つめれば、もちろんかなり良くできたEVである。ただし筆者的にはこのホンダeはあくまでもホンダEV戦略のスターティングポイントだと思うのだ。

 内燃機関で生まれ内燃機関で築いてきたホンダがその内燃機関に見切りをつけ、あらたなホンダの第一歩として世に送り出した、正に“走る実験室”的な……それがホンダeならば、そのホンダの新たな出発に、筆者は大きな拍手を惜しまない。

TETSUO TSUGAWA
TETSU ENTERPRISE CO, LTD.

■Honda e Advance主要諸元

新車価格:495万円 
発売日:2020年10月30日
型式:ZAA-ZC7
駆動方式:RR
トランスミッション: -
ハンドル:右
動力分類:電気
全長:3895 mm
全幅:1750 mm
全高:1510 mm
前輪サイズ:205/45R17
後輪サイズ:225/45R17
最小回転半径:4.3 m
車両重量:1540 kg
定員:4 人
最高出力 kW[PS]:113[154]
最高トルク N・m[kgf・m]:315[32.1]

【画像ギャラリー】かわいいホンダeのディテールを写真でチェック


津川哲夫
 1949年生まれ、東京都出身。1976年に日本初開催となった富士スピードウェイでのF1を観戦。そして、F1メカニックを志し、単身渡英。
 1978年にはサーティスのメカニックとなり、以後数々のチームを渡り歩いた。ベネトン在籍時代の1990年をもってF1メカニックを引退。日本人F1メカニックのパイオニアとして道を切り開いた。
 F1メカニック引退後は、F1ジャーナリストに転身。各種メディアを通じてF1の魅力を発信している。ブログ「哲じいの車輪くらぶ」、 YouTubeチャンネル「津川哲夫のF1グランプリボーイズ」などあり。

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