見た目は同じだが、走ると三車三様の個性を主張
今回試乗したのは、N-BOX L・ターボSTYLE+BLACK、車両本体価格205万7000円。タントカスタムRS“スタイルセレクション”、車両本体価格190万3000円。そして、スペーシアカスタム ハイブリッドXSターボ、車両本体価格188万3200円という3台で、すべてターボ・2WD車となっている。
まず、3モデルの燃費性能は、WLTCモードでN-BOXカスタムは20.2km/L、タントカスタムが20.0km/L。そしてスペーシアカスタムは19.8km/Lとなっている。
唯一、マイルドハイブリッドシステムを搭載しているスペーシアカスタムが最も低いという予想外の結果だ。自然吸気エンジンではN-BOXとスペーシアが21.2km/L、タントは21.0km/Lとなっている。
車両重量は、N-BOXカスタムは930kg、タントカスタムも930kg。そしてスペーシアカスタムは900kgとスペーシアカスタムが30kg軽い。
今回の試乗は街乗りを中心に行ったのだが、3モデルともに最高出力64psを発生するパワフルなターボエンジンを搭載しているので、車両重量の重さを感じることなくスムーズな加速をみせる。
唯一、マイルドハイブリッドシステムを搭載しているスペーシアカスタムが、モーターのアシストで最もスムーズかと思っていると、加速時にインジケーターを見てもそれほどアシストしていない。
エンジンパワーのみで加速していることが多く、逆にシステム用バッテリーの充電量がMAXになることもあるほどだ。マイルドハイブリッドの恩恵は自然吸気エンジンのほうが大きい。
街乗りとはいえ、3モデル同時に乗ると、走りの味付けの差がハッキリと出る。一番人気のN-BOXは小型車や普通車をメインに作っているホンダらしく、最もしっかりとした走行性能を発揮する。
背が高いクルマにも関わらず、3モデルの中で最も重心が低く感じられ、走行時のロール量も抑えられている。これだけしっかりと走れるのであれば、ファーストカーとして高速道路でロングドライブもラクラクこなせる。
対して、スペーシアとタントは街乗り重視と思わせるソフトな味付けが特徴。リアシートにお子さんを乗せることを考えて、サスペンションの設定も柔らかめ。その結果、コーナリング時のロール量も大きく、速度域が上がると、リアサスペンションの落ち着きが物足りない。
この両車では、スペーシアカスタムのほうがボディのしっかり感を感じる。タントは。助手席に採用したミラクルオープンドアの利便性の高さは魅力だが、走行性能ではN-BOXやスペーシアと比べると物足りない印象だ。
N-BOXは小型車の代わりとしてファーストカーとして十分そのポジションを務められる一方で、スペーシアやタントは街乗りのセカンドカーというポジションに落ち着きそうだ。
やはり新車販売台数No.1を続けるN-BOXの人気は、走行性能や利便性といったしっかりとした実力に裏打ちされたものであると言える。
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