直6ディーゼルは高級車の乗り味と静粛性を実現している
BMW X3の車両本体価格は713万〜1,337万円で、今回試乗したM40dは920万円。スポーツブレーキやスポーツシートなどがセットとなった23万5000円のオプション装備であるファスト・トラック・パッケージ。そして4万8000円のピアノ・フィニッシュ・ブラック・インテリア・トリムを装着している。
ブラックのMモデル専用のキドニー・グリルとMの文字がひときわ目立つ赤のブレーキキャリパーを除けば、Mモデルを主張しすぎていないところに好感を感じると同時に不気味さも感じる。
メルセデス・ベンツやレンジローバーなどで3L直列6気筒ディーゼルターボ搭載車に乗る機会はあったが、気がつくとBMWでの3L直列6気筒ディーゼルターボ搭載車は、このX3M40dが初めてだった。Mが手掛けたディーゼルモデルというのも興味深い。
スターターボタンを押してエンジンを始動させても、窓を閉めていると全くエンジン音は車内に侵入してこない。そして不快な振動もまったく感じない。これは走り出してからも全く印象は変わらない。
鍛え上げられたX3M40dのボディは背の高いSUVであることを忘れさせるほどの、高い走行安定性を実現している。路面の荒れた部分を走行しても、滑らかな乗り味により乗員にその振動はほとんど伝わってこない。
様々なカーブを走行してもクルマの傾きであるロール量は抑えられていて、フラットな乗り味をキープしてくれる。それでいて、ハンドリングはBMWらしく非常に軽快で、車両重量が2トン以上あるX3M40dだが、動きは機敏で無駄がない。
街乗り中心で走行したものの、燃費はWLTCモードの数値に近い13.5km/Lを達成。高速道路中心で走行すれば、15km/L以上は出そうだ。
X3M40dはMモデルらしいスポーティな走りはもちろん魅力だが、何と言っても3L直列6気筒ディーゼルターボエンジンが演出してくれるのは、高級セダンのような高い静粛性と抜群な乗り心地だ。まさに直6ディーゼルターボエンジンは高級車にマッチしたパワートレインなのだ。
本革を採用したスポーツシートの座り心地も抜群で、非常に疲れにくい。また、トランク容量は5人乗車時で550L。リアシートを倒すと最大1600Lまで拡大し、高い利便性を誇る。
2Lディーゼルターボの20dでも充分高い満足は得られるが、1度直6ディーゼルターボを味わってしまうと、なかなか2Lを選ぶのは難しい。それほど性能に差があるのだ。たしかに価格でも差があるが、X3M40dは900万円に見合った走行性能と豪華装備を備えている。
CX-60のディーゼル車の価格は約330万〜約550万円と言われており、X3M40dとは大きな差がある。X3M40dで味わった運転する楽しさと高級車らしい静粛性と乗り味の両立がCX-60でどれくらい表現できているのか。今から楽しみで仕方ない。
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