タイプRか!? メガーヌR.S.か!? 世界最速ホットハッチ決戦 プロが明かす意外な「違い」

ニュルFF最速を争う2台 軍配が上がったのは?

リアサスペンション形式が異なる2台。乗り心地の評価が高かったのはシビックタイプRのほうだ

——試乗を終えて、どちらが良かったですか?

鈴木 シビックタイプRかな。サスペンションがしなやかで、接地性がよくて乗り心地もいい。それにエンジンもメガーヌR.S.より良かったね。

——シビックタイプRが、こんなに速いのに快適な車だとは知りませんでした。

鈴木 ダンパーとタイヤにかなり助けられているとは思うけどね。

——メガーヌR.S.の印象はどうでしたか? 

鈴木 ある程度の速度域までは良い。でも、そこを超えるとバタバタしちゃう。ゆっくりと荷重をかけてあげれば、おいしいところを味わえる車だよね。エンジンも悪くはないんだけど、官能的なところがなくて印象に残りにくい。でも、長距離を走るならメガーヌR.S.のほうが楽なんじゃないかな。タイヤのゴツゴツ感はあるけど乗り心地もいいし、リラックスして走れる。

——実は、スポーツカーというよりGTカーのキャラだったと。

鈴木 見た目と印象が違うけどね。

◆  ◆  ◆

 鈴木氏はシビックに軍配を上げたが、プロの視点で見ると2台のキャラクターが明確に違うのも興味深いところ。

 2台はホット“ハッチ”というだけあって、その実用性も気になるところだが、室内と荷室の広さは若干シビックタイプRが上回っている程度。全長とホイールベースは、シビックのほうが長いことも加味すれば、大差ないレベルだろう。

 ちなみに燃費は一般道12km(渋滞あり)と高速道路68km(渋滞なし)の計約80kmでシビックが15.7km/L、メガーヌが14.7km/Lと、この手のスポーツモデルとして考えれば、望外なほど優秀な数値をマーク。

 その実用性・走り味然り、「速いだけでなく快適性も確保されている」という点で2台は極めて現代的なホットハッチなのだ。

鈴木利男 ■1955年生まれ。全日本F3000選手権など国内トップレースへの参戦を経て、1993年にはラルースからF1にスポット参戦。1999年のル・マン24時間レースでは2位に入る。その後、日産 GT-Rのテストドライバーとして開発に携わった

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