あの小型トラックと同じキャブ!? 「インドのベンツ」はなにもかも違っていた【インドの中型トラック乗り比べ・前編】

引っ張って使えるエンジン

DICV・オラガダム工場のテストコースをゆくバーラトベンツ1415R。キャンターキャブをベースとしているため、窓の形や運転席に座った時の収まりに既視感があるものの、ドライビングの感覚は全く違う。シフトレバーもインパネシフトではなくフロアシフトである(写真提供:ぽると出版)
DICV・オラガダム工場のテストコースをゆくバーラトベンツ1415R。キャンターキャブをベースとしているため、窓の形や運転席に座った時の収まりに既視感があるものの、ドライビングの感覚は全く違う。シフトレバーもインパネシフトではなくフロアシフトである(写真提供:ぽると出版)

 この排気量(シリンダ容積)からGVW14トンを発進・加速させるため、やはりギア比は低めの設定で、ガーーーッと引っ張ってシフトアップを繰り返すことになる。グリーンゾーンは1200~2200rpmと広いが、それを超えた2400~2800rpmあたり(レッドゾーンは3000rpmから)も、ごく当たり前に使う常用域である。

 そのため、排ガス後処理装置は、日本の3~4リッター級エンジン搭載車(つまり小型トラック)とは比べ物にならないほど容量が大きく、大型トラックのようなサイズである。小排気量でも、仕事量が増えれば、NOx(窒素酸化物)とPM(微粒子物質)の排出量も増えるのである。

 ということで、決して静かなドライビングにはならないのだが、4D34iは回したなりにパワーが付いてくるエンジンだった。例えば、30km/h巡航からタコメーターいっぱいまで回してシフトアップ、という増速操作を試してみると、300mほどのストレートをフルに使うことなくトップ6速・約60km/hに達し、その間にパワーが頭打ちになるようなこともなかったのである。

 ギアが入りにくいということはないものの、高負荷な環境で用いられるトランスミッションのマニュアルシフト操作は、やはり手ごたえ感がある。パワーステアリングも重めの味付けで、ステアフィールはビジネスライクな印象だが、しっかりしたつくりを感じさせるものだった。

 フットブレーキ(サービスブレーキ)はABS付フルエア式ドラムブレーキで、ペダルにちょんと圧をかけただけで、鋭く制動が効くタイプ。定積状態では、制動力にかなり余裕をもたせている感触だったので、ご当地の積載条件が考慮されているのだろう。補助制動装置はコラムレバー操作の排気ブレーキ(1段)だが、インパネスイッチ操作の大型バーラトベンツ車に対して、ごくオーソドックスなインターフェースとなっている。

 ちなみに標準装備のエアコンのおかげで、蒸し熱い南インドでも、涼しく試乗できたことを付け加えておこう。(後編へ続く)

【画像ギャラリー】バーラトベンツの中型トラック・1415R! あのクルマとキャブがそっくりだけど全く違うトラックです(6枚)画像ギャラリー

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