■内燃機関の需要が減ることは次の時代へのステップアップが望める絶好のタイミング
西村/既存の内燃機関部品を供給されているサプライヤー企業についてどうお考えですか?
劉社長/これまでの産業発展にヒントがあるように思います。例えば白黒テレビがカラーテレビへ、アナログ回線がデジタル回線となり、5Gとなった。技術革新が進むと、当然ながら世の中はいい方向へと舵を切ります。つまり、既存のサプライヤー企業さんにとっても、多くのチャンスが生まれると考えています。
西村/その具体例はありますか?
劉社長/2019年に全日空さんと共同で羽田空港におけるBYDの電気バスを活用した自動運転の実証実験プロジェクトを組みました。その際、ソフトウェアや運行管理システム、さらにはインフラ設備などすべて日本企業に参入いただいています。BYDはすべてのソリューションを持っていますが、あえて電気バスの提供に留めました。いわば「箱」(電気バス)を提供する側になったのですが、私はその判断でよかったと考えています。内燃機関の需要が減っていくことは、言い換えれば内燃機関の時代から、次の時代へのステップアップが望める絶好のタイミングであり、新たな発展が期待できるチャンスであるからです。
■ATTO3試乗でわかった「マイルドさと衝撃の少なさ」
今回、日本市場で発売がスタートしたATTO 3に日本の公道で試乗した。右ハンドル仕様だが、試乗車はオーストラリア仕様で各液晶メーターは英文表記でナビ機能が付いていなかった。
なお、日本仕様では日本語表記となり、ゼンリンの地図を活用したカーナビ機能ほか、Apple CarPlayやAndroid Autoも利用できる。
駐車場での微速領域では、電動モーターの駆動制御が光った。アクセルペダルに対する従順さは、日産のアリア、ホンダのHonda eと遜色ない。ブレーキペダルはペダルに足を乗せた瞬間に立ち上がる減速度が強めだが、スイッチ操作で2段階に調整できる回生ブレーキとの連動もスムーズだ。
国道でグッと踏み込んだ。出力150kW、トルク310Nmの電動モーターはエコ/ノーマル/スポーツの切り替え式ドライブモードによらず、マイルドな印象で上質だ。スポーツにすれば若干、躍度(連続する加速度)が早めに体感でき加速度上限も早期に訪れるが、派手な演出はいっさいない。
感心したのは乗り味だ。今回は後席でも試乗できたが、ともかくマイルドで強い衝撃が少ない。厳密には高速道路の継ぎ目では大きめの「ドン」という衝撃音とともに揺れが入り込むものの、最新モデルらしく、前後方向のピッチングはかなり抑えられ、代わりに天地方向の振幅に集約させている。
シートも腰で身体を支える最新理論が採り入れられている。設計に元メルセデスベンツのエンジニアが入り込んでいる事実もうなずける。
半面、電動パワステのフィールではカーブでの切り始めと戻し始めの際、アシストが曖昧になる領域があった。車体のライントレース性は損なわれていないので、電動パワステの制御に起因するものだと推察した。
外気温6度の雨天時に行なった3時間にわたる今回の試乗。得られたトータルでの電費数値は5.9㎞/kWh。撮影時の電気ロスを考慮した純粋な走行では8.9㎞/kWhとこちらも優秀だった。
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