デリカD:5より軽いことが災い!?
ドライバビリティも、三菱にはユニークなキャラがある。
デリカD:5でこの2.2Lディーゼルに初試乗した時には、車重2トン近い重量級ミニバンをグイグイ走らせるトルク感に大いに感心した。
最大出力発生回転数はわずか3500rpmで、全開時の自動シフトアップもほぼその回転付近。8速ATを細かくシフトして、回転を上げずにスイスイ走らせるのがこのエンジンの醍醐味なのだ。
ところが、誤算だったのは車重が300kgも軽いエクリプスクロスだと、トルク感を感じるより先にむしろ頭打ちの早さが気になってしまうこと。
グイッと蹴り出す力強さを実感するにはある程度の負荷が必要なのだが、エクリプスクロス・ディーゼルは車重が軽いためか、いわゆる「タメ」を感じる間もなくシフトアップポイントまで吹き上がってしまう。結果として、加速タイムは早いのだがトルク感を実感できないのだ。
最近のエンジンはセッティングをいじると排ガス処理やら燃費マネジメントやら、いわゆる「適合」の作業が膨大に増えるため、どうしてもメーカー側は及び腰になりがちだが、エクリプスクロス用にはもう500rpmくらい回して、パワー・トルク値も170ps/42.8kgmくらいに上げてほしいところ。
このエンジンにはそのくらいの潜在能力はあるはずだし、三菱のようなニッチ市場を目指すメーカーは、そこを攻めなくちゃいけないと思う。なんといっても、ライバルのCX-5は190ps/45.9kgmなのだから……。
本格オフロード走行を目指すには最適
今回の市場は朝霧高原付近の一般公道を中心に走らせたが、こういう郊外のワンディング路では、乗り心地やハンドリングは特筆すべきポイントもないかわり欠点もなし。
このへんの乗り味は1.5Lガソリンに試乗した時と変わらず、シャシー性能はまぁ素直だが平凡という評価が妥当だと思う。
ただし、ディーゼルは1.5Lガソリンより前輪荷重が100kg近く重いはずだが、操舵レスポンスやターンイン時の挙動でアタマの重さを感じることはほとんどなく、むしろ車重が増えたぶん乗り心地にドッシリとした落ち着きが加わって好印象。「イイもの感」は確実にディーゼルのほうがワンランク上といえる。
いっぽう、一般路での「悪くないね」という評価が、「スゴイね!」に変わるのが、荒れたオフロードに乗り入れた時の走破性だ。
試乗コースとして用意された富士ヶ嶺オフロードの急坂やモーグル路をガシガシ攻めると、パジェロで培った三菱車ならではのタフネスにいつもながら感心させられる。
普通のSUVはまぁ行っても雪道程度だが、本当のオフロードを目指すならエクリプスクロス・ディーゼルの信頼感は格別。
このキャラはやはり三菱車ならではの個性で、ここを伸ばしてゆくのが今後の三菱のブランド戦略にとって重要なテーマ。改めてそう思った次第であります。
【三菱エクリプスクロスディーゼルエンジン搭載車価格】
■M……306万1800円
■G……323万280円
■G Plus Package……340万3080円
■ブラックエディション……342万4680円
■ブラックエディション(オーディオレス)……332万7480円
※駆動方式は4WDのみ、ブラックエディションは特別仕様車
【参考:エクリプスクロスガソリンエンジン搭載車の価格】
■M……253万9080円/275万5080円
■G……271万8360円/293万4360円
■G Plus Package……289万1160円/310万7160円
■ブラックエディション……291万2760円/312万8760円
■ブラックエディション(オーディオレス)……281万5560円/303万1560円
※価格は左側が2WD、右側が4WD、ブラックエディションは特別仕様車
コメント
コメントの使い方