クーペフォルムをまとったクロスオーバーSUVはスポーティなエクステリアに負けず劣らずきびきびした走りで人気となっている。そのの三菱エクリプスクロスにクリーンディーゼルエンジン搭載モデルが追加された。
デリカD:5で力強さは証明されている待望のクリーンディーゼルを搭載したエクリプスクロスの走りの実力は? 鈴木直也氏が静岡県朝霧高原近郊のワインディングロード、オフロードコースで試乗しレポートする。
文:鈴木直也/写真:中里慎一郎
デリカD:5と同じ2.2Lディーゼルを搭載
ルノー・日産アライアンスに加わったことで、経営的にはひと息ついた感のある三菱。ただし、それと引き換えに「三菱らしい個性が失われるのでは?」という点は気がかりだった。
しかし、それは現時点では“杞憂”と言ってよさそう。今回エクリプスクロスに追加されたディーゼルモデルの試乗会に参加してみて、三菱らしいクルマ造りが復活しつつあることが大いに心強かった。
今回エクリプスクロスに搭載される4N14型2.2Lディーゼルは、先にデリカD:5に搭載されたもの。145ps/38.7kgmというスペックも含めて、まったく共通のユニットだ。
このエンジン、基本ブロックは従来型踏襲だが、尿素SCRの採用、燃焼室形状の変更、新世代直噴インジェクターの採用、ムービーングパーツの見直しによるフリクション低減など、あらゆる部分に手が入れられていて、実質的にブランニューといっていいユニット。しかも、ATもアイシンの最新8速ATが組み合わされる。
ライバルはマツダCX-5 XD
いま日本車で乗用ディーゼルに力を入れているメーカーといえばマツダだが、例えばライバルと目されるCX-5 XDを見ると、4WDで280万円台から350万円台のラインナップ。
エクリプスクロス・ディーゼルは306万〜340万円で、ほぼ同じ価格ゾーンでようやく国産ディーゼルSUVのライバルが出現したということになる。
三菱はこの市場では挑戦者だから、メカニズム的にはマツダ以上に攻めている。
マツダのスカイアクティブDは、EGRと酸化触媒で排ガス規制をクリアする低コスト化技術が特徴。それはそれで素晴らしいのだが、これ以上排ガス規制が厳しくなると、なんらかのNOX浄化システムを追加せざるを得ない。実際、北米仕様ではすでに尿素SCRが装備されている。
また、ATもマツダ内製の6ATに対して、三菱は評価の高いアイシン製8AT。レシオカバレッジも広いし変速もスムーズ。ATに関しては明らかにエクリプスクロス・ディーゼルがリードしている。
おそらく、このあたりの原価は三菱のほうがかなり高いと思われるが、それをほぼ同価格でぶつけてきたというあたりに、いまの三菱の「ヤル気」を感じるわけだ。
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