このところ他のヨーロッパ車と一線を画したスタイリッシュなデザインで人気を博すボルボ。そのボルボの最も小さい5ドアモデル、V40が日本にやってきた。しかも驚きのプライスで……(本稿は「ベストカー」2013年3月26日号に掲載した記事の再録版となります)
TEXT/編集部
Photo/平野学
■ゴルフやAクラス、レクサスCT200hなどの対抗車として登場したボルボV40
今やスバルのアイサイトをはじめ、ダイハツの軽自動車まで自動ブレーキはごく一般的な安全装備となったが、この件でダイハツのエンジニアは「ボルボのおかげです」といっていた。
日本で完全に停止する自動ブレーキが認可されたのは2009年のボルボが最初だった。
日本のメーカーもシステムとしては完成していたものの、実際に搭載し、認可を受けるところまではいっていなかった。
この壁を破ったのがボルボで、そのボルボの最新のV40シリーズはさらにこの安全装備を進化させ日本に上陸してきた。
しかも驚きの価格で国産車やヨーロピアンコンパクトモデルをターゲットとしている。
昨年のジュネーブショーで正式に発表されたボルボのV40シリーズは約1年で日本に導入されるが、よく知られているような“V”はワゴン、“S”がセダンという従来のボディ構成ではない。
今回のV40はVはついているが、ボルボの位置づけは5ドアのプレミアムスポーツコンパクトだという。
すなわち、激戦区のCセグメントハッチバック市場に向けたモデルで、新しいゴルフやベンツAクラス、それにレクサスCT200hなどの対抗車として登場した。
そのために269万円という日本市場では戦略的な価格が発表されている。
V40にはこの269万円のベーシックグレードT4と309万円のT4SEの2グレードが用意されるが、50km/hまで対応する進化した自動ブレーキは両グレードに標準装備されるほか、世界初の歩行者エアバッグも6万円高のオプションで設定される。
さらに安全に関してはぬかりない。
歩行者検知機能付きの追突回避、車速追従機能付きのクルーズコントロール、車間警告機能、レーンキープなど10種の安全機能を持った、セーフティパッケージも20万円で用意される。
当然このクラスではトップレベルの装備といっていい。
ボディサイズは全長が4370mm、全幅が1785mm、全高が1440mmと日本車でいえばまさにレクサスCT程度で、日本で使いやすい手頃なサイズ感。エンジンも1.6L 4気筒ターボ。
最近のヨーロッパ車の傾向でもあるダウンサイジングターボで、パワーは180ps、最大トルクは24.5kgm。性能的には2~2.5L程度のパフォーマンスということになる。
しかし、燃費はアイドリングストップもあり、驚くことにJC08モードで16.2km/Lを誇る。
実際に乗ってみると、低回転からトルクが厚く使いやすい。さらに相当スポーティに走らせることができる。
エンジン自体はちょっと4気筒の荒い部分もあるが、デュアルクラッチの6速ATとの相性もよく、スポーツコンパクト5ドアとして魅力的だった。
ハンドリングもまさにヨーロッパ的でノーズの動きが手の動きに素直に反応し、しっかりした骨太なボディにもよるが、走りは気持ちいい。
価格と性能、それに先進の装備と魅力的なデザイン。これはちょっとほっとけない新型車といっておきたい。
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