正式発売前のプロトタイプ先行試乗をプレイバック! 3代目レクサスISはBMW3シリーズを超えられたのか?

■「レクサスならでは」が欲しいハイブリッド

 売れ筋になりそうなハイブリッドは、3.5Lと比べてしまうと明らかに物足りない。

 聞いてみたらヨーロッパ仕様の最高速は200km/hとのこと。同等の実用燃費になるBMW320dの最高巡航速度が230km/h。

 一方、ハイブリッドでアクセル踏むと、ウルトラマンの戦闘タイムより短い2分くらいで電池切れ。そこからは単に車重の重い2.5L 4気筒の性能になる。IS250の2.5L V6より遅いです。

 聞けばヨーロッパ仕様にもディーゼルエンジン搭載モデルを設定しないそうな。意地でハイブリッドを押し通そうという作戦らしい。

 ヨーロッパじゃ最高速200km/hのプレミアムカーなど通用しないかと。

 ハイブリッド好きの私だって向こうに住んでいたら瞬時も迷わずディーゼルを選ぶ。また、アメリカはハイブリッド仕様をラインアップしない。日本専用車になってしまわないか心配だ。

 また6速ATと組み合わされる2.5L V6は、残念ながらアイドルストップが付いていない(3.5Lもなし)。

 今やアイドルストップが付かないプレミアムセグメントのモデルってアメリカ車だけ。

 これまた価格的なライバルになるだろうBMW320iと比較すると、動力性能でもハンドリングでも実用燃費でも届かない。2世代続いてライバルである3シリーズの壁を越えられず?

サイドビューでは個性的なウェッジラインが特徴でコンビネーションランプを抜け、リアエンドまで流れる
サイドビューでは個性的なウェッジラインが特徴でコンビネーションランプを抜け、リアエンドまで流れる

 期待していたのは、3シリーズが装備していない追突事故防止のための自動ブレーキ。今や軽自動車ですら自動ブレーキのニーズ大。社会的地位があると軽微な事故でも大騒ぎになる(有名人はTVニュースになっちゃいます)。

 ボルボによれば自動ブレーキの装着率は世界中で日本がダントツに高いそうな。何と! 次期型ISの装備リストには自動ブレーキなし。

 もう1つ。アメリカで販売するモデルなので当然『スモールオーバーラップ衝突』に対応しているかと思ったら、今までのトヨタの社内基準とまったく同じだという。

 さらに追加すれば、なぜハイブリッドの電池は今や新型車のスタンダードになったリチウムでなく、旧来のニッケル水素なのだろうか?

 プリウスαなんかグレード違うだけでリチウムを採用しています。ハイブリッド担当の技術者に聞いてみると「リチウムを使えば燃費も動力性能も楽しさも大幅に向上します」。

 すばらしい足回りのFスポーツに乗りながら「う~ん!」とウナる。いろんな点で煮詰めきれていない感じ。

ハイブリッドシステムはクラウンハイブリッドとまったく同じ。レクサスならバッテリーをリチウムにしてほしかった
ハイブリッドシステムはクラウンハイブリッドとまったく同じ。レクサスならバッテリーをリチウムにしてほしかった

 そういえばトヨタは先日大きな人事異動と組織変更を行ない、レクサスの開発トップが豊田章男社長になった。もしかしたら章男社長もレクサスに対し不満が多かったのかもしれません。

 次期型IS、価格設定まで3シリーズより高くなれば(ハイブリッドは470万円の320dのベースグレードより高い可能性大)、楽な戦いにはならないと思います。

■国沢氏の採点

・BMW320iが100点ならIS250は60点
・BMW328iスポーツが100点ならIS350Fは100点
・BMW320dスポーツが100点ならIS300h Fは80点

NEWレクサスIS vs BMW320d スペック比較
NEWレクサスIS vs BMW320d スペック比較

(写真、内容はすべてベストカー本誌掲載時のものです)

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