「アクセル見守り隊」を実際にテスト!
実験車となるプリウス(30系)のエンジンスタートボタンを押すと同時に、ダッシュボード上に装着したスイッチのランプが付き、自動的に「アクセル見守り隊」がオンとなる。
駐車場でチケットを取るような身体の位置が変わる場合も想定し、早速アクセルペダルを思い切って踏んでみると、「ピー」という音とともに、クルマはクリープの速度でじわじわと前へ進む。
これは凄い! その速度は最高でも時速7km程度だった。これならば、落ち着いてブレーキに踏みかえができる! ちなみにこの「アクセル見守り隊」の作動範囲は10km/h以内となっている。
また、バックの時も同様に、「アクセル見守り隊」はきちんと機能する。リバースシフトに入っているときに、ブレーキの代わりに間違えてアクセルペダルを踏んでしまっても、クリープの速度で動くので、慌てずにブレーキ操作ができる。
「アクセル見守り隊」のありなしで、誤発進を認知してからブレーキで制動するまでの停止距離を示した結果が下記の写真だ。
通常だと、誤発進を感じてからブレーキペダルに踏みかえて止まるまでに9m近くかかっているのに対し、「アクセル見守り隊」だと1m以内(約75cm)で停止ができた。
身をもって体験したが「アクセル見守り隊」が機能すれば、急加速で焦ってしまって何もできなくて事故が起きる、ということはなくなるだろう。
■「アクセル見守り隊」をオフにした状態
■「アクセル見守り隊」がオンの状態
イジワル実験をやってみた
30系プリウスと言えば、「プリウスミサイル」という不名誉な別称で呼ばれているクルマだ。
試しに、ネットで指摘されている「誤発進する条件」であるNレンジからDレンジに入れてどうなるかをやってみた。
Nレンジに入れた状態でアクセルペダルを踏むと、車両のモニター上に「Nレンジです」というメッセージと、「ピー」という警告音がなる。この時点で、ドライバーは「踏み間違えた」と気が付くはずだ。
ただ、Nレンジでアクセルペダルを踏んだ状態でDレンジに入れれば、発進する。
つまり、アクセルペダルを踏んだままの状態では、「アクセル見守り隊」は機能しない。「何でもかんでも機能するという条件ではない」という点は、ドライバー側が認識すべき点だ。
反応感度は5段階で設定できる
アクセル急踏み込みの感度は5段階に調節できる。これまでの実験では感度はレベル3であった。
ペダルの誤操作の判定は、アクセル信号からペダルを踏み込む速さをチェックしている。
感度の高いレベル1だと少し早めのアクセル操作にも反応するが、感度の低いレベル5だと、ノーマルのプリウスの状態にほぼ戻る。
例えば、高齢の両親が運転する場合は、感度をレベル1に上げておくということもできる。また防止機能の発生回数を後から確認できる機能も搭載している。
感度の変更は、スイッチを5秒ほど長押しして感度変更モードにした状態で一度スイッチを離し、再びスイッチを押すごとにレベルが1つずつ増えていく。「ピー」音の回数で今の感度が分かるという仕組みだ。
感度の変更は停車中にしかできず、それなりに時間がかかる。そのため、運転操作中に、間違って感度を変えてしまうことはないだろう。
坂道発進時や、交差点での右折待ちからの発進を考えると、感度はレベル2からレベル3の間で設定するのが良いと感じた。
アクセルとブレーキを同時に踏むとどうなる?
例えば有料駐車場の出入り口でチケットや支払をする際、ブレーキを踏んでいる足がずれて、同時にアクセルを踏んでしまうシーン。
ここでアクセルペダルとブレーキペダルを同時に踏んでしまった場合も、アクセル信号を制御してブレーキを優先する。
一時的にオフにすることが可能、助手席から暴走停止できる機能も開発中
坂道発進や交差点での右折時など、状況に応じて防止機能を一時的にオフにすることができる。やり方はスイッチを長押しすることだ。ランプが消灯すれば防止機能はキャンセルとなる。
一度アクセルを踏み込んで戻すと、自動的にスイッチが点灯して、防止機能がオンに戻る。このあたりは、スイッチの戻し忘れが無いように徹底されている。
また、右折または左折時に、ウインカーに連動して自動的に機能をオフにできるアダプターを開発中とのこと。
さらに万が一の暴走時に、助手席からでもアクセルを制御できる「緊急ボタン」の開発も進めているとのことだ。
コメント
コメントの使い方