トヨタグループの大手サプライヤー、アイシンがタイヤ事業に進出。新商品「アイテラ」を全国で販売中だ。何とも気になるこのタイヤをラリードライバーの新井大輝が本気モードで試乗した!
文:新井大輝(ラリードライバー、2024年の全日本チャンピオン)/写真:池之平昌信
【画像ギャラリー】全日本ラリーチャンプも激推し!! アイシンが開発したタイヤのデキが素晴らしすぎるから見て!!(8枚)画像ギャラリーAISIN(アイシン)が独自に開発したアイテラタイヤ
ボクの地元でもある埼玉県の本庄サーキットでトヨタグループの自動車部品サプライヤー、AISIN(アイシン)のアフター部門がオリジナルで開発したAITERRA(アイテラ)というニュータイヤを試乗してきた。
今回は試乗車としてユーザー数が多いコンパクトハッチのヤリスと商用バンの代表格として圧倒的なシェアを誇るハイエースの2台が用意されていた。
それぞれアイテラとライバル社の比較試乗ができ、フィーリングを忘れることなく違いを検証できたのはとてもよかった。
今回ヤリスで試乗したタイヤはアイテラのアイエコEC50、そしてハイエースはアイワゴンWA70だ。アイテラの営業の方から伺った話ではグローバルに展開していきたいという思いもあり、世界中のどの路面を走行しても大丈夫なようにバランス重視で作っている。そうアイテラはなんとグローバル戦略タイヤなのだ。
また日・米・欧のメーカーに純正採用されるブランドの技術が入っており、成形する際の窯はアイシンオリジナルだ。
まずはヤリスのアイエコEC50から試乗してみることに。せっかくサーキットを貸し切っているのだからということで贅沢に同じ銘柄で3周ほど走行。1週目はゆっくり低速領域、2周目は少し早くしてスラローム、3周目はハイスピードから急制動といったパターンに分けて走行し吟味した。
ライバル社と比較して体感的に一番違いを感じたのはロードノイズが静かだという点。しっかりと路面の周波数を受け止めてどのスピードレンジでもしっかりと路面からのノイズを受け止めてくれる。
ハンドリングもアイエコEC50は軽快感があり、スラロームでも気持ちよくステアリングを操作することができた。そして最終ラップの3周目の急制動ではGの立ち上がりからハザードランプがしっかり点滅するほど路面にしっかり食いつき、グリップレベルも問題はまったくなかった。
アイテラタイヤのポテンシャルを探るために全開走行!
続いて乗ったハイエースのアイワゴンWA70とライバル社の比較は、ヤリス以上に興味深かった。商用バンユースは日々厳しい使われ方が想定される。商用タイヤ領域では本当の意味で基本性能が試される分野だ。
走行距離もさることながら、フル積載した高負荷の状態で走行しても音を上げず、安心して走行でき、しかもコスパのいいタイヤをユーザーとしても欲しいところだ。
実際に走行してみるとステアリング操作に対し、想像以上にリニアに応答してくれる。そして左右にスラロームで振っても破綻する感じは一切ない。ブレーキングもヤリスのとき同様にまったく問題ないことは3周するうちに判断することができた。
しかしこれでは私が本庄サーキットへ来て新井流の評価をしているとは言い切れないので、最後は積載しているとき以上に負荷の掛かる全開走行でタイヤをいじめてみた。
ブレーキングもギリギリまでタイヤを追い込み、コーナーの立ち上がりではタイヤが若干の白煙をあげるくらいの走りだ。それでも最後までフィーリングも変わらず安心して運転することができたので、商用車用のタイヤと考えれば、性能面として満足のいくものだと断言できる。
ヤリスのアイエコEC50もアイワゴンWA70も試乗前のイメージを覆すパフォーマンスを見せたことが印象的だった。
小売りの実勢価格は国内ブランドタイヤの価格を重視したゾーンで展開されているというから、コスパも高いタイヤといえそうだ。
なおアイテラにはアイクロスCR60というSUVタイヤもラインナップする。17~20インチを揃え、人気モデルにも適合するので、こちらも機会があれば試乗してレポートしたい。
日本国内販売元 (株)モーターズボックス
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