2025年9月5日~7日に開催された「ラリー北海道」で、川畑真人選手と竹岡圭選手が三菱「トライトン」を操り熱い走りを披露した。だが実はこの2台、それぞれのチームとドライバーの好みに合わせて仕様が異なっていたのだ。今回はその違いを徹底チェック! するとわかったのは――トライトン、実は“とんでもなくイジれる”懐の深いマシンだったのである。
文:ベストカーWeb編集部/写真:ベストカー編集部、三菱自動車
シフトスケジュール変更で戦闘力アップ! 進化した三菱トライトンの秘密
昨年は準備期間が短く「未完成」だったトライトン。しかし今年は7月4日開幕のラリー・カムイから新たな武器である、競技用ATプログラムを導入してきた。
昨年のラリーは市販車仕様での走行だったが、このATプログラム導入によって、より高回転域を使えるようになった。また、このシフトスケジュールの変更には、ドライバーがステアリング操作に集中できるようにする狙いもあった。
さらに、補助装備としてパドルシフトも追加。昨年までのフロアシフトだけの状態と比べて、より直感的に操作でき、ハンドルから手を離さずに狙ったタイミングでシフトできるようになった。
ラリー北海道では、ドライバーの要望に応じて高回転寄りだったシフトアップ回転数を下げ、つねにトルクの美味しい領域を使える仕様に進化。シフトスケジュールはコースに合わせて細かく変えるのは難しいため、補助的にパドルシフトも使えるように引き続き装着されていた。
三菱開発陣の思惑どおり、走りは格段にスムーズに。竹岡圭選手も「さらに運転に集中できるようになった」と効果を実感。また、「昨年までは市販車に近い状態だったのでパドルシフトが欲しかったが、今年はそこまで必要性を感じないくらいシフトスケジュールの完成度が高まった」とも語っていた。
市販車においても、このトルクバンドを活かせるパドルシフトは大きな武器になるはず。ぜひ標準装備してほしい装備である。
そして川畑号では、これらの改良に加えてエンジン出力の強化も実施。最高速180km/h超えの高速ステージ「SS1パウセ・カムイ・ショート」では、2番手の寺川和紘選手(マツダ CX-60)に3.9秒差をつけてクラストップタイムを記録し、進化の方向性が正しいことを証明した。
注目の装備! ヤマハ製パフォーマンスダンパーが走りを変えた
今回の仕様でもうひとつの目玉が、フロント&リアに装着されたヤマハ製パフォーマンスダンパーだ。スポーツカーやレーシングカーでも採用される高性能パーツで、内部にアブソーバー機構を持ち、剛性をただ高めるのではなく入力を“いなす”ことで旋回性や安定性を高める効果がある。
竹岡選手はその効果を実感していた。
「道がとにかく荒れていましたが、パフォーマンスダンパーのおかげか姿勢のコントロールがしやすく、積極的に向きを変えてアクセルを踏んでいけました」
ラリー・カムイからさらに磨きがかかった、トライトンが持つ高い操縦安定性を体感したようだ。取り付けはブラケット形状さえ市販車合わせればボルトオンで可能なので、ぜひ純正オプションパーツとして製品化に期待したいアイテムだ。














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