交通事故を削減するには「ヒト」「モビリティ」「インフラ」3つの連携が欠かせない。まさに「三位一体」となってこそ、大きな効果が生まれる。トヨタ・モビリティ基金(TMF)はデータとAIを掛け合わせることで、地道だが着実な活動を進めている。
文:ベストカーWeb編集部 写真:ベストカーWeb編集部、トヨタ・モビリティ基金
【画像ギャラリー】すぐそこまで来たトヨタが描く未来の交通社会! AIが事故を防ぐ時代へ! (5枚)画像ギャラリークルマのADASがどこまで進化しても交通事故はなくならない
「交通事故ゼロ」に向け、交通安全に正面から取り組んでいる一般財団法人がある。トヨタ・モビリティ基金(TMF)だ。その名の通りトヨタ自動車が2014年8月に設立した財団で、交通安全以外にも渋滞対策、地域の移動手段維持、カーボンニュートラル活動支援など、さまざまな社会課題の解決に取り組んでいる。
交通安全を考える際、「日々進化を続けているクルマのADAS(先進運転支援システム)によって、完全自動運転が実現できれば痛ましい交通事故がなくなる」と考える人もいるだろう。
しかし、クルマ側でできることには限界があるし、完全自動運転の世界はすぐには実現しない。また、人の違反やエラーに起因する事故を根絶するには、人の意識改革や社会インフラの整備も欠かせない。
TMFは「ヒト」「モビリティ」「インフラ」を「三位一体」ととらえ、子どもや高齢者を対象とした啓発活動や、技術・データの活用、自治体との協働によるインフラ改善などを積極的に行っている。
交通安全はともすれば標語のような「スローガン」が先行しがちだった。事故が起きるたびに原因は「運転者側の不注意」「スピードの出し過ぎ」と決めつけるような風潮もあっただろう。「スローガン」自体を否定するものではないが、「精神論」だけでは事故はなくならない。
TMFの活動の大きな特徴は「現場を重視し、事故に学ぶ」姿勢にある。事故の調査・解析に基づき、事故現場を再現し、対策を検討する。この地道なデータ重視のアプローチが、少しずつ成果を上げ始めてきている。具体的な成果と課題について、プログラム・ディレクターの八木健一氏に話を伺った。
データを可視化することで人の心が動き、交通事故の減少につながる
「我々は一貫して『人』にフォーカスして活動してきました。特にここ数年は、交通事故ゼロの実現には『人の行動変容』が欠かせないと考え、事故の背景や要因を深堀りし、警察やメディアの啓発活動に役立ててもらっています。
例えば『沖縄ゆいまーるプロジェクト』では産官学の協力によって道路環境の整備や啓発活動が進み、成果をあげることができました。特に沖縄県警察本部に全面協力いただいたおかげで、車両の走行データ(プローブデータ)と掛け合わせた分析を行い、事故の真の原因を知ることができたのです」と教えてくれた。
「沖縄ゆいまーるプロジェクト」では、産官学の9つの組織が連携。それぞれが持つ事故データや車両データを統合して危険地点を特定し、原因究明から対策立案、検証までを行う未然防止の手法開発に取り組んでいる。八木氏が指摘するように、警察が持つ「生のデータ」の活用が、より深い事故対策のカギとなっている。
またTMFは愛知県豊田市をはじめとするさまざまな地域で実証実験を行い、地域が直面する課題への対策を提示している。
「データを可視化して提示すると、自治体等行政トップ自らが『すぐにやりましょう!』と協力してくださるケースもあります。可視化によって原因と対策が明確になれば、人は行動に移しやすいのです。」
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