■反射を抑えて画面を見やすく
続いてナビ画面で厄介なのが反射。当然ながらクルマには複数のガラスがあり、走行しているといろいろなところから光が差し込む。光は日光だけではなく街灯だったり、ネオンだったり、後続車のヘッドライトだったりと、色味も光の強さもさまざま。
反射してなんだかナビが見えにくいなぁ……、という経験をした人も多いと思う。しかし反射を完全に抑え込むには外光を遮断するしかない。そうなるとクルマの構造は最悪の環境だ。
「最初は弊社もスマホの保護フィルムを作ってお客さまにもご支持いただいているメーカーでしたので、クルマのナビフィルムも正直なところ”いける”と思ったんです。しかしやっていくうちに難しさを知りました」と前述の霜田氏。
スマートフォンのように画面の向きを動かすことができないナビ画面だけに、その反射を上手に抑え込むのは非常に骨が折れる作業だったようだ。
なんせ開発中にはオープンカーで昼夜を問わず街中をひたすらドライブするという修行のような開発も行い、素材メーカーとの二人三脚で反射を極力抑えたフィルム(ARコート)を完成させたという。
また反射だけでなく指すべりのよさにも特筆しておきたい。近年のナビはスマホと同じく静電方式のタッチパネルであり、機種によっては二本指でのピンチ操作も必要になる。このあたりはスマホ用フィルムを手掛けてきたディーフだけに抜かりなり操作性も向上させているあたりはさすがだ。
■自動車メーカー純正部品レベルの耐候性をクリア
ここまで読んだあなた!! ナビに貼るフィルムって今までもあったよね、と気づいているはず。そうなんです、すでに先行製品はあったもののナビ画面に貼るフィルムとしてはディーフの狙うレベルに達していなかったと霜田さんはいう。
「真夏に駐車場のクルマに戻ったらヤケドしそうなほど熱くなっていることありますよね? 車内は80℃以上になることもあります。しかしエアコンスイッチやメーターの液晶など、いかなる部品も熱で壊れることはあまりありませんよね? そこが大切なんです」。
真夏の車内で貼ったフィルムの糊が溶け出したり、フィルムを剥がした時にナビ画面が汚れるなどのクルマの車内の超過酷な環境に対応する製品を出すと決意をしたという。
「もうそこからが戦いですよ(笑)。フィルムの素材メーカーさんに何度もお願いして高温の車内でも性能を発揮する素材を作り上げました。もちろん高温だけでなく前出の反射や操作性についてもクリアしないとならない。ようやく納得のいく製品になりました」。
暑さのことばかり書いたがもちろん極寒域にも対応。設計温度は-25℃~85℃まで。110℃の温度域でも性能を維持できる設計になっており、真冬の北海道から真夏の沖縄まで対応するまさに自動車メーカー純正部品レベルの性能を持っているフィルムなのだ。
施工についても大きな苦労があったようだ。
「車内ってホコリが多かったり、エアコンの空気の流れがあったりとフィルムを貼るには最悪の場所なんです。そこで湿布のように保護フィルムを剥がすことができる「キレセパ」と呼ばれる特許を使用したり、ベタベタしない特殊粘着層で位置決めをしやすくしています。この粘着層ならべたつかないのでホコリを噛んでしまってもセロファンテープなどで除去することができます」。
しかも付属する東レの「トレシー」というハイテククロスで仕上げをすれば画面のホコリや脂もスルっと除去できる(ちなみに洗ってスマホやPC画面をふくのにも使える)。なにからなにまで考えつくされた保護フィルム。まさに「純正部品レベル」と謳っても過言ではない超高品質フィルムなのだ。
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