今大注目のタイヤがご存じオールシーズンタイヤの「シンクロウェザー」だ。オールシーズンといえば雪道性能が注目されがちだが、夏場の実力(サマータイヤ性能)も気になるところ。やっぱり季節問わずに“交換不要”というのが最大の魅力であるが、ホントのところはどうなのか!? 1万キロ走ってわかったシンクロウェザーの真の姿をご紹介!! 自動車メディア界きってのタイヤ博士の達人が出した答えは!?!?!?
文:梅木智晴(ベストカー編集委員)/写真:ベストカー編集部
【画像ギャラリー】サマータイヤとしても一流性能の「シンクロウエザー」はまさに二刀流!!(6枚)画像ギャラリー夏でもオールシーズンタイヤに注目だ!!
ベストカー編集部(以下BC編集部)の社用車レヴォーグに装着したシンクロウエザー。昨年10月の装着以来、すでに1万㎞ほど走行しているが、トレッド面を見ても新品時からパターンイメージが変わるなどはなく、摩耗した印象はまったくなく、新品タイヤの様相だ。
日々の取材の足として高速道路を走る機会も多いのだが、まず印象的なのが軽やかな転がり感だ。シンクロウエザーはオールシーズンタイヤで特徴的なV字型ブロック配置を採用し、さらに氷雪路性能を高めるためにブロックには細い波型の溝(サイプ)が多数刻まれている。
このトレッド面を見た印象だと「うーん、トレッド面がソフトで、走り出しが重そうだな」と思うかもしれない。また細かいサイプとV字型ブロック配置から「ちょっと音が大きいんじゃあないかな?」と思う人もいるだろう。
ところが、だ。走り出してすぐに実感するのが軽やかさ。一般的なサマータイヤと比較しても違いはわからないほど軽快にスルスルスルと走り出す。ブロックが捩れるようなグニャリ感はまったくなく、カッチリとした剛性感が軽快感を生み出しているのだろう。
このカッチリ感はブレーキング時の安心感にもつながる。ブレーキペダルを踏んだ瞬間にタイヤが路面を捉えてググっと減速Gが立ち上がる。ブロック剛性が足りないタイヤだと、ここで一瞬の遅れが生じることになってしまう。制動時の挙動安定性もサマータイヤそのものだ。
速度を上げていくと、音の静かさにも驚かされる。トレッドパターンの見た目から連想される「シャー」という高周波の、いわゆるパターンノイズはしっかりと抑えられている。そりゃあ、「静かさが自慢です」というプレミアムコンフォートタイヤと比べれば音は感じるが、敢えて比較しなければ特に気になるレベルではない。
ゲリラ豪雨級のヘビーウエットでも安心感が絶大!!
高速道路を走っていて、なにが怖いかと言ったら、突然の雨降りだ。特に一気に路面がヘビーウエット状態になるゲリラ豪雨。なるべく速やかにPAや SAに避難したいところだが、本線上では最大限の注意を払いながら運転を継続するしかない。
ある日の取材帰り、日が暮れた関越道でゲリラ豪雨級の大雨に遭遇した。ワイパーをハイモードにしても雨粒で視界が奪われる。路面はあっという間に水で覆われ、前を走るクルマの跳ね上げる水しぶきがさらに視界を奪う。ジワジワと速度を落として車間距離を取る。自車の跳ね上げる水しぶきが車体フロアに叩きつけ、時折“ゴワッ”と大きな音がする。「濡れた路面」ではなく「水浸し」の道路だ。
こんな最悪コンディションでもシンクロウエザーは安定した接地感を維持してくれた。この要因は2つある。ひとつはトレッドに刻まれた深い溝が路面の水膜を切り裂き、後方に飛ばしてくれるため。
そしてもうひとつが「水スイッチ」と呼ばれる、シンクロウエザーのトレッドゴムに盛り込まれた新技術だ。水分と反応して、トレッドゴムが柔軟になる特殊な構造で、これによって路面への密着性が高まるのだ。排水して密着するので、ヘビーウエットでも安定した接地が維持されるのだ。
実は以前、ダンロップのテストコースでヘビーウエットコンディションを体験したのだが、同社のコンフォート系サマータイヤよりもウエット旋回グリップが高く、旋回速度も高く、また、その際のコントロール性にも優れていることを確認していたのだ。今回は高速道路でのゲリラ豪雨で、改めてシンクロウエザーのウエット性能の高さを実感したというワケだ。
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