これがスバルの考える先進安全性能だ。2023年2月19日、栃木県佐野市にある「スバル研究実験センター」で、スバルが自社内で実施している取り組みをメディアに公開する「スバルテックツアー」の2022年度第3弾、「事故低減に向けた取り組み(走行安全編)」が開催された。現地へ行ってきたのでレポートしたい。
文/ベストカーWeb編集部・渡邊龍生、写真/スバル、ベストカーWeb編集部
■「走り」を極めることが安全につながる
スバルのスローガンといえば、「安心と愉しさ」を掲げて安全技術を磨いてきているのだが、2022年度は8月に予防安全編、同年11月に衝突安全編をこれまでに開催。
今回の第3弾もその流れに沿ったもので、2030年にスバルは死亡交通事故ゼロ(スバル乗車中の死亡事故とスバル車との衝突による歩行者や自転車などの死亡事故ゼロ)を目指すクルマ作りへのこだわりから取り組まれたプログラムだ。
事故を未然に防ぎ、万一の事故の被害を最小限にするための安全性をスバルでは以下の5段階に分けている。
まず、「0次安全」では視界のよさやパッケージ、「走行安全」では動的性能と危険回避性能、「予防安全」ではリアルワールド重視、「衝突安全」では乗員保護とコンパチビリティ、「つながる安全」では先進事故自動通報とインフラ協調を掲げる。今回のテックツアーでは、「走り」を極めることが安全を高める重要な要素となる考え方が実践的に紹介された。
例えば、誰が運転してもまっすぐ走れたり、思い描いたようにカーブを曲がれたり、悪路でも安心して走れるなどは、基本性能である「走る・曲がる・止まる」を磨く考え方であり、今回のテックツアーではこれに沿ったプログラムが3つ用意された。
■シート構造に医学とのコラボ採用でホールド性を向上!
まず、ひとつ目は「クロストレックによる商品評価路走行」。2022年12月に発表された新型クロストレックだが、動的質感を高めるために従来型のXVから新たにシートの構造について医学的にアプローチしている。
具体的には、ドライバーの骨盤の「仙骨」を支える構造が採用されており、コーナリング時のホールド性が驚くほど向上しているのだ。速度50~80km/hでワインディングのようなコースと直進安定性を確認できる商品評価路を実際に走って感じたが、クロストレックのシートにお尻をおさめると運転時にブレがないのが不思議で、比較走行したXVとは明らかに差が出ていたのが不思議だった。
シートの背もたれ部分下側にその秘密があるとのことだったが、これは降りてからシートに触っても実感できない部分かもしれない。
また、直進安定性とカーブでの修正舵の少なさもやはりクロストレックはXVより進化していたポイント。さらに、今回のクロストレックには4WDとFFの設定がある(XVにはなし)が、重量が50㎏軽いFF車のほうがコーナリング時の鼻先の軽さを感じられ、4WDを必要としない首都圏ユーザーの場合はFF車の軽快感も捨てがたいと思った。
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