■前後独立モーター駆動の4輪制御が安心感を高める!
ふたつ目のプログラムは、EVのソルテラによる登坂路走行。前後独立型モーター駆動式4WDと4輪制御システムの「X-MODE」を持つソルテラで、登坂路の登りと下りを体験試乗するというものだ。
まず、登りでは車体左側が雑草の生えた路面で右側が砂利道という駆動力を制御するにはなかなかに難しいシチュエーションでの試乗となった。
試乗では、登りの途中で一時停止し、X-MODEを「DEEP SNOW」モードに切り替え、トグルスイッチを切り替えるとアクセルとブレーキの両ペダルを踏むことなく、あとはステアリングを保持するだけでソルテラは路面をスルスルと登っていく。
下りでも「MUD」モードに切り替えるだけで基本的には同じで、最大傾斜45%というかなりの急角度にもかかわらず登りと同じくアクセルもブレーキも踏まずにステアリングを保持しているだけでソルテラがスムーズに降りていく。駆動力において緻密な制御を行えるモーターを備えたBEVの4WDだからこそ可能な挙動なのだろう。
■スバルには「テストドライバー」が存在しない!?
最後は1周4.3㎞(バンク角43度のオーバルコース)の高速周回路の同乗走行プログラムだ。スバルにはテストドライバー制度がなく、開発者やエンジニア自身が車両開発や評価を行う独自の「SDA」(SUBARU Driving Academy)が2015年から始まっている。
「乗って、感じる」テストドライバーの領域と「考えて、物理にする」というエンジニアの領域をエンジニア自ら一貫して開発から評価までを行うことで、言葉では言い表しにくいフィーリング評価と、計測すべき物理値を結び付けたクルマ作りができるのがスバル独自の強みとなっているワケだ。
今回、同乗試乗では、SDAのライセンスでトップヒエラルキーとなるSDAインストラクター4名が乗る先代WRX STIの助手席に座らせてもらった。マシンは開発用にリミッターが解除され、ロールケージが備え付けられている以外は基本的に市販車両と同じ。
240km/hを超える高速バンク走行をはじめ、240km/hから今度は一転して60km/hまで減速する高速ブレーキングやレーンチェンジなどを体験したのだが、200km/h以上の速度ともなると横Gではなく縦Gのかかり方が半端じゃない。何とか車内でカメラを撮影できたが、WRX STIの安定性には改めて驚かされた。
■「スバルらしさ」はドライバーとクルマとの対話に尽きる!
3つのプログラム終了後、最後にスバルの走り全体を統括するスバル常務執行役員CTO技術本部長の藤貫哲郎氏に、今後も保ち続けるべき「スバルらしさ」について聞いてみた。
「私どもがドライビングを考えた時、ドライバーだけでなく、クルマだけでもなく、対話しながら作り上げていくことが重要だと思っています。クルマからきちんと状況を伝えることも大事ですし、一方、ドライバーの操作に対してクルマが忠実に動くことも大事なわけです。そのふたつに尽きると思います」。
担当は購入から8年目を迎えた先代型WRX S4に乗っているが、取材後に藤貫CTOの語ってくれたその言葉、確かにふたつの要素がキチンと伝わるクルマに仕上がっていると改めて感じた。
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