■実効空力デバイスを自分で作る!?
夏空に恵まれた8月11日。会場となったモビリティリゾートもてぎのホンダ・コレクションホールに、続々と参加者が集まってきた。愛車を見てみると、フィットやオデッセイ、S660などに交じって、スズキ ソリオやスバル レガシィ、R2(!)といったクルマの姿が見える。岩手や沖縄など日本全国から来られた12組の方々だ。
お客様を出迎えたのは、Modulo開発統括を務める福田正剛さんや、完成車性能担当の湯沢峯司さん、開発アドバイザーの土屋圭市さん、スーパーGTドライバーでHonda純正アクセサリーのアンバサダーを務める大津弘樹さんらを始めとするホンダアクセスの開発者たち。われらがベストカーWebからは、編集長塩川雅人が司会として参加させていただいた。
朝9時、イベントがスタート。はじめに「実効空力とはなんぞや」という技術説明が行われた後、皆さんの緊張をほぐすべくトークショーがスタート。参加したのは福田正剛さんに土屋圭市さん、大津弘樹さんの3名だ。
冒頭、FD2型シビックタイプRから始まったモデューロの歴史について聞かれると、福田さんが「お客様の声と、土屋さんの叱咤激励で進化してきた(笑)」と振り返った。それを受けて土屋さんが、「福田さんはほんとしつこい(笑)。とにかく走らないと満足しない。実効空力エアロは、段ボールを切ってあれこれやるところから始まった」と思い出を語った。ご自身も段ボール切りに精を出したという。
現在フリードのModulo Xを日常の足に使っているという大津さんは、乗り心地が非常にいいと話し、「空力は時速100km以上のものだと思っていたが、実効空力デバイスを付けたN-BOXに乗ったら時速30kmでも効果を感じた」と驚きを語った。「レースカーでの空力はより高い速度で速く走るためのもので、乗り心地が良くなることはないが、実効空力は走り出してすぐ、乗り心地にも違いを感じる」という言葉が印象的だった。
トークショーが終わると、いよいよ工作の時間。5mm厚のスチレンボードを使って、実効空力デバイスを切り出す作業だ。
参加者たちはそれぞれ、カッターと定規を使ってシェブロン形状のデバイスを切り出していく。スチレンボードが一度で切れずにとまどう人もいたが、ホンダアクセスの開発メンバーたちが常に机を回り、的確に手ほどきを行う。おかげで全員が、30分ほどかけて3つの実効空力デバイスを完成させることができた。
■ドリキンまでハチロクに実効空力デバイスを装着!
お昼ご飯を挟んで、午後からはマルチコースに舞台を移動。いよいよ自作した実効空力デバイスを体感するときだ
自らの愛車で走る前に、まずはデモカーのN-BOXを使って、全員が実効空力デバイスの「あり」「なし」による乗り味の違いを体験する。コースにはあらかじめパイロンが配置され、定常円や奥がきつくなるコーナー、段差などが体験できるようになっている。スピードは街中での走行を意識して、時速50kmをリミットとした。
参加者は2つのグループに分かれてコースイン。はじめに実効空力デバイスを付けない状態で走り、次に実効空力デバイスを装着して走る。試乗を終えると、みんな笑顔でクルマから降りてくる。
話を聞いてみるとほぼ全員が「違いが分かった」という。特に定常円で気付いたという人が多く、「(デバイスを付けると)一定の舵角で走れるようになった」「ハンドルの切り増しが減った」「不安感がなくなった」といった意見が聞かれた。実効空力、恐るべし!
ピットに並んだ参加者のクルマをチェックしてみる。実効空力のイベントに参加するだけあって、すでにあれこれ空力デバイスを装着済みの人も多い。驚くことに、土屋圭市さんまで愛車のハチロクトレノを持ち込んでいる!
その土屋さんが、ハチロクに実効空力デバイスを付けて模範走行を行ってみた。まずはルーフエンドに付けて試走し、次にリアスポイラーに付け替えて走ってみた。
降りてきて印象を聞くと、ルーフエンドに付けたときのほうがリアの滑り出しが早く、リアスポイラーに付け替えるとスタビリティが上がったという。どちらがいいというものではなく、走るコースによって装着位置を変えるのがいいのではないかという意見だった。
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